女神レイア
「やあ!よく来てくれたね健人。私は女神レイアだよ。よろしく~!」
二度目の呼び出しで神々の間へと呼び出された俺の前に現れたのはシシリアよりも小柄の女の子。今回呼び出したのはコイツか。
「どうも。はじめまして。」
俺がそう挨拶すると何故か驚いている。
「あれ?もしかして私の事覚えてないの?最初の時に会ってるんだけど?」
そう言えば確かに見た気がする。
「まあ、あの時は私は話してないし仕方ないけどさ。」
そう言って少し不貞腐れる女神レイア。なんか子供みたいだな。あれ?ウェンディーがいないな?
周りを見渡して何故か俺の後ろに隠れてるのを見つけた。
「何で俺の後ろに隠れてるんだ?ウェンディー。」
隠れてるウェンディーに声をかけると慌てて姿を消してしまう。
「あれ?ウェンディーがいるの?そう言えばシシリアが妖精をサポートに付けたって言ってたけどウェンディーの事だったんだ。えい!」
突然、姿を消したウェンディー驚いているとレイアが回り込んできて何もない空間を掴む。
「ぎゃあああああああっ!?」「うおっ!?」
突然レイアに掴まれたウェンディーが現れて叫び声をあげる。その声に思わず驚いてしまった。
「何で逃げるのかなウェンディー?」
手の中に捕まえたウェンディーを笑顔で見つめるレイア。
「い、いや~!放して~!た、助けてケント~!!」
ウェンディーの奴が泣きそうな顔で助けを求めてくるがどうしたものか。なんかこの女神に逆らうと危ない気がする。するとレイアは捕まえていたウェンディーを放す。
「失礼だな~?隠れてるから捕まえただけじゃん。」
解放されたウェンディーが俺の元に飛び込んでくる。本当に怖かったのか震えてる。
「一体、何をしたらこんなに怖がられるんだ?」
俺が思わずそう問いかけるとレイアが不思議そうな顔をする。
「うーん?別に何もしてないよ?昔からウェンディーの事は知ってるけど普通に遊んであげてただけだよ?」
レイアがそう言うとウェンディーが反論する。
「う、嘘よ!レイア様は昔から私に意地悪ばかりだもの!以前、皆で鬼ごっこしようとか言って妖精を食べる魔物が沢山いる世界に連れてかれて死にかけたし、私の大事にしていた飴玉を勝手に全部食べちゃっし、他にも色々な目に遭わされたんだから!」
なんか二番目に飴玉って話が出るのがウェンディーらしい。まあ、死にかけたって事の方が恨んでるようだが。
「別に意地悪じゃないよ~!確かに泣いてるウェンディを見るのも楽しいけど、別にわざとじゃないからね?魔物の件は忘れてただけだし、飴玉だってお腹空いてたんだから仕方ないじゃないか?他の事もそうだよ。ねえ、健人は信じてくれるよね?」
そう言って俺を見るレイアだが楽しそうに笑っている。それに最初に泣いてるのを見るのが楽しいって言っちゃってるし嘘だな。
「嘘よ!神様はお腹空かないじゃない!」
ウェンディーがそう言うとバレたかって顔をするレイア。すると空間から何かを取り出すレイア。
「悪かったよウェンディー。これ、今度君に会ったらあげようと思ってた飴玉。お詫びにあげるから許して!」
そう言って飴玉を差し出すレイア。
「飴玉!?やったー!良いわ、許してあげる!」
そう言って差し出された飴玉に飛び付くウェンディー。そのまま、包みから取りだして口に運ぶ。
「あ、おい!」
飴を貰ったウェンディーが止める間もなく口に入れてしまう。
「あー美味しいっ!?ぎゃあああああああっ!?何コレ!?痛い痛い痛い。辛くて痛いよ~!水、水、水~!水を頂戴!」
最初は美味しそうな顔をするウェンディーだが突然叫び声をあげる。ふと、隣を見るとレイアがそれを見て笑い転げている。
「キャハハハハハっ!!!ウェンディーどうそれ?美味しい?それは異世界の中でも一番辛い飴玉だよ。ぜび、ウェンディーにあげたかったんだ!」
やっぱりか。レイアはあれだ!人にイタズラしてその様子を笑って見ている悪ガキみたいなものだ。レイアが飴を出した時も嫌な予感がしたんだよ。
そもそも、ウェンディーの奴も散々酷い目に遇わされたんなら警戒しろよ。あっさり騙されやがって。
最初に感じた逆らうと危ない気がするってのはこの事か。コイツを怒らせたら何されるか分かったもんじゃないな。神だからタチの悪いイタズラをされそうだ。
「ごめん、ごめん!こんな事してる場合じゃなかったよね。ウェンディーは放っていて話をしようか。」
笑い転げていたレイアだが俺の呆れた視線に気付くと立ち上がって話しかけてくる。酷いなこの神。ウェンディーを見ると辛さと痛みで飛び回っている。あ、落ちた。
「さて、君の実力はシシリアから聞いてるよ。あの、破滅龍を一撃で倒したんだって?凄いじゃないか!それなら僕の担当の世界でも大丈夫そうだね。よろしく頼むよ!」
まあ、頑張ってくるけどさ。コイツの担当する世界か。何か不安だな。
「今回行って貰うのはシシリアの時と同じFランクの世界!ただ、今回は闘う必要はないよ。今回はその世界の大精霊達を静めて来て欲しいんだ。」
大精霊を静める?
「そう。大精霊達は何らかの理由で暴走してるみたいなんだ。だから、この道具を使って眠らせて欲しいんだよ。」
そう言って石を投げて渡してくる。
「これは?」
俺がそう聞くとレイアは石を指差しながら答える。
「それはね。大精霊達から力を吸いとる道具ね。力を吸いとられた大精霊達は大精霊じゃなくなってしまうんだけど眠りにつけば力はいつか戻るから、その間に原因を調べて対処してしまおうという訳。簡単でしょ?」
いやいや。
「大精霊って確か自然の化身って奴だよな?そんなのから力を吸いとるのが簡単な訳ないだろ!?」
俺がそう言うとレイアは楽しそうに笑っている。
「何言ってるの?破滅龍だって似たような物だよ。それを一撃で倒したんだから大丈夫だって!一応、案内として精霊を呼んであるから君なら簡単だよ。頑張ってね。」
そう言うと俺と床に倒れているウェンディーが光に包まれ、気付くと何処かの洞窟にいた。
足元にはビクビクしている妖精が一体。どうしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます