ドラゴン退治

「さて、これからどうすれば良いんだ?」




シシリアにより森の中へと送られた俺達だが、一体どうすれば良いんだろ?




「それより、お前まずは着替えろよ!その格好で行動するつもりか?馬鹿だろ?」




俺がどうするか考えているとウェンディーの奴が何か言ってくる。相変わらず口が悪いな。




「格好って、何がだよ?」




俺はそう言って自分の体を見てウェンディーが何を言いたいのか理解する。




俺は寝ていた時に呼ばれたんだ。そりゃ、寝間着のままだよな。




「でも、着替えるって言っても他に着るものなんて持ってねぇぞ?」




するとウェンディーが何も無いところから何かを取り出す。




「ほれ!シシリア様から預かってる。」




そう言って投げて来たのは小さな袋だ。




「これって俺がシシリアに預けた魔法の袋じゃん!何で?」




この袋は異世界で俺が使っていたマジックアイテムだ。この袋は見た目は小さな袋だが大量の荷物が入る優れものだ。勿論、取り出すのも簡単で取り出したいものを思い浮かべれば簡単に取り出せる。日本に戻る前にシシリアに預けといたんだ。持ち帰っても使えないと思ってたし。




「シシリア様からあらかじめ渡されてたんだよ。色々と使える物も入ってるらしいから後で確認しとけよ。とりあえず、着替えも入ってるから着替えとけよ!」




そう言って何処かに飛んでいくウェンディー。




「サポートが勝手に何処かに行くなよ。」




今のところウェンディーと仲良くなれる気がしない。はぁ。着替えるか。




「多分入ってるはず。」




俺は着替えを探して魔法の袋に手を突っ込む。




「あった!良かった、入ってた!」




俺は異世界で来ていた鎧と剣を取り出す。あの世界から帰る際、袋にしまってあった元の服に着替えるのを忘れてた俺は日本に戻る前に着替え、鎧と剣は袋に入れといた。




「あれ?そう言えば指輪がないな。」




俺が異世界で身に付けていた指輪がない。ってか元の服に着替える時にも外した覚えがない。もしかして向こうに置いてきたか?あの指輪使えるんだけどなぁ。指輪はマジックアイテムで効果は自動回復。少しの怪我なら直してくれる優れものだ。




「まあ、見当たらないから仕方ないか。」




俺は寝間着を着替えてウェンディーが戻ってくるのを待つ。




「おい、ケント。こっちだ!急げ。」




ウェンディーを待っていると少ししてウェンディー俺を呼びに来る。呼ばれた方に向かって歩いて行くとしばらくして森を抜ける。




「なんだよ、コレ」




森を抜けると、俺の視界に映る範囲のほとんどの大地がマグマの様に煮えたぎっている。




「まあ、ドラゴンの仕業だろうな。」




マジかよ。ドラゴンが暴れただけでこんな世界の終わりみたいな状態になってるのかよ。




「おい、向こうの方角から嫌な気配がしてる。行くぞ。」




そう言って勝手に飛んでいくウェンディーを止める為に思わずその体を掴んでしまう。




「キャッ!」




あれ?




「お前!一体、何の真似だよ!」




そう言って俺の手から抜け出して文句を言ってくるウェンディー。




「なあ。」




もしかしてコイツ。




「何だよ?」




俺を睨み付けるウェンディーに確認する。




「もしかしてお前って女なのか?」




俺がそう聞くと一瞬何を言ってるんだって顔をするウェンディー。そして、キレた。




「て、テメー!私の事、男だと思ってたのかぁぁぁ!」




そう言って俺に襲いかかってくるウェンディー。




「いや、だって男っぽい口調だし、口も悪いし、それに小さすぎて女には見えないしな。」




全体的に小さい。ってか地味に痛いから髪を引っ張るな。




「あ、コラ!掴むんじゃねえ!」




捕まえたウェンディーをとりあえず見る。確かに顔立ちは女の子っぽいかな?




「私に優しくして欲しいなら早くドラゴンを倒してみやがれ。こっちは新人の勇者を押し付けられてイライラしてんだよ!」




俺の手から逃げたしたウェンディーがそんな事を言ってくる。それで態度が悪いのか。




「いや、そんなに嫌だったなら断れば良かったんじゃ?




俺がそう言うと目を逸らすウェンディー。




「いや、だって、飴玉くれるって言うから。」




そう言えば昔、妖精は飴玉が好物だとか聞いたことがあるな。まあ、好物とは限らないけど好きなんだろうな。ってか、食べ物に釣られただけじゃねぇか。




「まあ、いいや。それで、向こうの方角にドラゴンがいるのか?ってか、こんな景色にしたドラゴンを本当に倒せるのか?」




シシリアは簡単だって言ったけどこれを見たら不安になるぞ。




「ふん。神様が言ってるんだから倒せるんだろう。まあ、私もお前がそんなに強いとは信じられないがな。とにかく、まずは行ってみるんだよ。」




そう言って先に飛んでいくウェンディーに苦笑いしながらも後を追う。








「居たぞ!」




ウェンディーがドラゴンを見つけて教えてくれたが言われなくても見えている。




「どうやら村を襲っているようだな。」




ウェンディーが下にある村に気づく。確かに大きなドラゴンが村の様な場所を襲っている。てか、デカイ。




「あれ、デカ過ぎだろ?」




あの異世界でもドラゴンはいたし倒してもいる。けど、見えているドラゴンは大きさが全く違う。




向こうで見たドラゴンは十メートルぐらいだったけど、コイツは五十メートルぐらいありそうだ。




「ビビってるんじゃないわよ!何の為に来たのよ、早く助けに行けよ。勇者だろ!」




そう言って俺の背中を押すウェンディー。




「行けってお前は?一緒に戦わないのか?」




俺がそう聞くとウェンディーが慌てる。




「ば、ばか。私があんなのと戦える訳ないだろ!私の役目は見つけるまでだよ。私は隠れてるから早く行け。」




そう言うと姿を消してしまうウェンディー。消えた??




「ぎゃあああああ」




ウェンディーが消えたのに驚いていると悲鳴が聞こえて来る。流石に見捨てる訳にはいかないか。




俺はドラゴンに向かって走っていく。村には逃げ遅れたのか多くの人がいる。ドラゴンが逃げ遅れた人達に向かって爪を振るったり炎を吐いている。




「きゃああああっっっ?!」




すると、一人の女性が転んでしまう。ドラゴンが女性に向けて爪を振り下ろそうとしているのを見た俺は剣を持って間に入り込む。




ガキーン!!!




爪と剣がぶつかると鈍い音が響く。




「え?」




後ろの女性が呆けた声をあげる。




「おい!俺に任せてすぐに逃げろ。」




俺がそう言うと、女性は驚いた様子だったが急いで逃げていく。よし!




女性が逃げたのを確認すると周りにも声をかける。




「おい!今すぐ逃げろ!」




俺がそう言うと急いで逃げていく村人達だが、怪我で動けない人もいる。どうやら見える範囲には死人はいないらしい。




「グオオオオオオオオオオオオオオン!」




ドラゴンが攻撃を防いだ俺を見て雄叫びを上げる。まるで音が降ってきたような衝撃に村人から悲鳴が上がる。




「ここじゃ、戦えないか。場所を移動するぞ!」




俺はドラゴンに向かって斬撃を飛ばす。結構威力を込めたが、あの図体なら対して効かないだろう。けど俺に注意を向けられれば問題ない。そしたら、村から引き離して戦うだけだ。




だが、そんな事を考えていた俺の思いとは裏腹に斬撃を食らったドラゴンは叫び声を上げて倒れてしまった。




「「「え!?」」」




「「「「「「ええええええ!?」」」」」」

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