第3話 第2の事件
「ただいまー」
エリックがリビングに入ると、ロイがにこにこして近づいてきた。分厚い本を大事そうに抱えている。
「おかえり!」
「その本は?」
するとロイは嬉しそうにして、エリックにソファに座るように促した。
「これね、お花とか、くまさんとか、お魚さんとかいっぱいかいてあるの!」
どうやら、エリックが捜査に行く前にロイが話していた「欲しいもの」は図鑑だったらしい。エリックが捜査中にクレアに買ってもらったという。
「ちょっと見せてくれる?」
図鑑のページをめくり、捜査で持ち帰った花について調べる。
「何を調べているんですか?」
エリックにヘンリー・オークスが声をかける。ヘンリーはウォルターの弟で、色々な研究をしている。
「これなんだけど、何かわかる?」
ヘンリーに花を見せる。
「これは柿の花ですよ。でも中々花を見ることは…どこで見つけたんですか?」
「殺人現場にあってさ、場違いなものだったから気になって調べようと思ったんだ。事件には関係なさそうだけど…」
すると、ヘンリーは腕を組んで俯き、何かを考え始めた。
「どうしたの?」
エリックが声をかけると、ヘンリーは顔をあげた。
「あの、柿の花言葉なんですが、確か『広大な自然の中で私を永遠に眠らせて』だった気がします」
「なるほど…関係性があるかもしれない。遺体のあった場所が森に囲まれた草原だった。」
エリックはそう言った途端ソファから立ち上がり、スコットランドヤードに連絡をした。
「事件について少し気になったことがあるんだ。今回の殺人、花言葉が関係してるかもしれない。またおなじことが起こるかもしれないから警戒しておいた方がいいかも」
2日後、再びウォルターが訪ねてきた。
「多分、この前のと同じ事件だと思う。大まかな捜査はしたが、手がかりはなかったよ。あ、そういえば、はいこれ」
ウォルターはそう言ってクローバーをエリックに差し出した。
「クローバー…」
エリックが呟くと、ヘンリーが口を挟んだ。
「クローバーは『幸運』なんですけど、もうひとつ意味があって…」
「もうひとつあるのか?ヘンリー」
ウォルターがヘンリーに尋ねる。
「はい、兄さん。クローバーのもうひとつの花言葉…それは…」
「…『復讐』」
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