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急に二人で遊びに行けと言われても正直どうすればいいか分からないわけで。
夕飯時に帰るという時間的制約も相まって真希と杏奈はバスで十数分ほどのところにあるショッピングモールへとやってきた。ここならいろいろ見て回るだけで時間を
「……とりあえず服でも見て回る?」
こくんと杏奈が
先を行く真希の
夏の陽気を避けて冷所を求める人々は少なくなく、ショッピングモールは
大人びた
「杏奈はどんな服が好き?やっぱ可愛い系のやつかな」
ハンガーにかかった服をいくつか手に取って杏奈に
「私は……」
杏奈は真希をチラリと見やってから服を
「――お姉ちゃんみたいな大人っぽいのは似合わないね」
どれが好き、ではなく否定の言葉。つまり、本当はそういうデザインが好き、
それは真希にとって意外な返答だった。てっきりフリルがついているような可愛らしいものが好きなのだと思っていた。似合うものと好きなものは違うらしい。
「あはは、杏奈も大学生になったら似合うよ。無理に背伸びしなくてもさ」
真希は大学生、杏奈はまだ中学生。時が
「私は昔っからあんまり可愛いのって似合わなかったからさ。ほら、目元とかキツいし。だからこういう可愛いのが似合うのはちょっと
淡いピンク色のビスチェをひらひらと振って見せる。真希には少々明るすぎる色合いだ。
それを受け取った杏奈が自分の
(思ったよりは落ち込んでない……のかな?)
その様子に真希は少しホッとした。
それで――
(いいわけないんだよなぁ……)
杏奈が声を荒げたのは二回。日葵の誕生日と昨日の夜。その原因は一体なんだ?
日葵の誕生日から杏奈の日葵へのスキンシップが激しくなった。それはなぜ?何が彼女の行動に変化をもたらした?それが分からなければきっとまた繰り返す。そしてまた彼女を傷つけてしまう。
(ほっとけないよね、姉としては)
杏奈が日葵にべったりなせいで、真希と日葵の時間が減るのは嫌だ。
だけど、弟と妹が不仲なのはもっと嫌だ。
これ以上致命的な
この新しい家族のためにできることが、きっと自分にも――
(……?)
ここまで考えたところで、真希は何か違和感のようなものを感じた。何か、当たり前のことを見落としているような……。
「お姉ちゃん?どうかした?」
たがその違和感も杏奈の呼びかけによって
「ん、なんでもない。別のとこ見に行こっか」
結局、日が西日に変わるまでの間にその違和感の正体に気付くことはなかった。
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