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「いやぁ、予定通りなら間に合うはずだったんだがなぁ。突然帰ってきて
すまんすまんと父が
「うー大丈夫だよー気にしてないよー」
されるがままの日葵だったが、手がどけられると
父が日葵と
「それはそれでちょっとな……ちょっとは気にしてほしい……」
少しばかりしゅんとなる父。
(めんどくさいなこの父親……)
真希は内心そう思ったが、
「ともかく、遅れた原因なんだが……。なかなか
そう言って一枚の写真を二人の前に出す。
「……なにこれ」
真希が
「野生のコビトカバの
「……………」
なぜこの父親はそんなものの写真を見せたのか。
「いやあ、なんとか動いている様子をこの目とカメラに
話す内容のわりには楽しそうに父は語る。
そしてそれを楽しそうに日葵は聞いていた。
「それでだ、これが誕生日プレゼント」
と、父は
「あ、ありがとう……」
帰ってきて、
なお、昔は国外に出る度にお
「いやぁしかし日本はいいものだ。道を歩いていてひったくりに
そう言って父はダイニングの
「夕飯の残りでよければ食べる?」
「食べる!
子供のように
ふと、父が周囲を見回す。
「そういえば
父の
「杏奈は……もう部屋に戻っちゃった……」
「……そうか」
父がそのやりとり一つで何かしら
この父親、
(どうしてこんなタイミングで帰ってきたんだか……)
父に隠し事はできない。そんな父が寄りにもよってこのタイミングで帰還するとは。
「真希、あとで少し話をしようか」
「……………」
たまに帰ってきたと思ったらこれだ。ここぞとばかりに父親らしいことをしようとする。
本当の母が
だが、こうなってしまったものは
「あ……」
父親にぐちゃぐちゃにされた日葵の髪を真希がポンポンと直した。これから
「杏奈のことはさ。お姉ちゃんに任せてよ。私達にとって杏奈は初めての妹。杏奈にとっても、私と日葵は初めてのお姉ちゃんとお兄ちゃん。ちょっとすれ違うことぐらい普通だって」
そう、何も心配することはない。
今までがうまく行き過ぎていたのだ。新しい家族、新しい生活が何の問題もなく上手くいくはずがない。重要なのは、これを乗り
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