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メッセージを送ってしばし。ノックされたドアを開けると
「お姉ちゃん、どうしたの?」
急に声をかけて邪魔をするのもどうかと思ったので、
「うん、ちょっと
真希は事前に用意しておいた
「なんか
家の近くに
「お姉ちゃん、そんなに炭酸好きだっけ?」
「たまには!たまにはね!」
はてと首を傾げる日葵。実際のところ真希はそんなに炭酸は好きではない。
「ハルとお友達の分もお金出すからさ。お願い!」
手を合わせてお願いする真希。
姉が弟に何かを頼むことそのものが
「うん、いいよ」
「ありがとう!」
どさくさに一度ハグしつつ、お金を
部屋のドアが閉められると真希はドアに
(ごめんねハル)
内心で日葵に
「えー、
返事が
「あ、日葵の姉ちゃん」
手にしていた携帯ゲーム機の電源を落しながら佑真が顔を上げた。日葵も持っているゲーム機のハード。どうやらそれで遊んでいたようだ。
日葵はそれほどゲームはしないが、今の時代、こういったものがなければ友達と遊ぶことさえままならないらしい。
「日葵なら今は……ってあれ?さっき姉ちゃんに頼まれてお使いに行くって言ってたけど……」
首を
「ハルじゃなくて、佑真君に話があるの」
「俺にっすか?」
「ちょっとハルがいたらできない話だったから、ハルには
「え、それって……」
おもむろに真希が後ろ手に部屋のドアを閉めた。
特に深い意味はない。
「佑真君と二人だけで話がしたくて」
「二人だけで……」
何を思ったのか急に佑真が
「え、あ、その、俺、まだ全然お姉さんのこと知らないし……なんで俺……」
「よく家に遊びに来てくれるでしょ?ハルの話にもよく名前が出てくるし、一番仲がいいのは佑真君かなって」
立ち話もなんだと思ったので、真希が日葵のベッドに腰を
座った
「ねぇ、佑真君」
「は、はい!」
思わず佑真の声が上ずる。それに
「佑真君に聞きたいんだけど……」
そして――
「――ハルの欲しい物って、なんだと思う?」
その言葉の意味を
「……ああ、そういえばそろそろ日葵の誕生日っすね」
ポンと手を叩いて
そう、真希がずっと
「それで日葵の友達の俺に相談するために、わざわざ日葵にお使いに行かせたと……」
こくり、と。
「まぁそんなことだろうと思ってましたけどね……」
先ほどまでの
「んー……パッと思いつかないっすね。あいつあんまりあれ
「そうなの」
日葵はあまり
「ゲームは……別に欲しいソフトはないって言ってたしなぁ。他に日葵の
「それは私も考えたんだけど……」
日葵はそこそこ本を読む。学校へは
「どの本がいいか分からなくて……」
「ああ……あいつ何でも読むしなぁ」
「逆に言えば何あげても喜んでくれるんじゃないっすか?」
「そうかもだけど、私が本読まないからどれが面白いのか分かんないし……」
「確かに自分が分からないものをあげるってのはちょっとアレっすね……俺も本読まないしなぁ……」
二人して首を
「あ、食べ物とかどっすか?お姉さん料理得意っすよね。ほら、こないだのすげー
思い出したのか佑真の
あの弁当と目の前の美人なお姉さんが脳内で
「食べ物はどうだろう……食べてはい終わりってのはちょっと
「なるほど。うーん……」
意見を求めているのに否定ばかりする真希に
「ゲームとか本、つまり
一通り話を聞いた真希は、
「――それいいかも!」
「ありがと。日葵に佑真君の分もジュース買ってきていいよって言ってあるからそれがお礼ね」
「いやいや、たいしたことしてないっすよ」
ベッドから腰を上げた真希に、ふと佑真が、
「――いいなぁ。俺もお姉さんみたいな弟
「ありがとう。悪い気はしないわ」
特に弟想いという点がポイント高い。
「それに可愛い妹もできてさー。マジ神様ってやつは平等じゃねーよなーって思いますよ」
佑真は日葵との友達である時間が長い。故に
そこで真希はふと気になったことを聞いてみた。
「ちなみに、さ。男の子的には、姉と妹、どっちが欲しい?」
なんとなしに浮かんだ
一瞬きょとんとした佑真だが、
「人によるとは思いますけど、俺的には……
「ほほう。その理由は?」
「エロいからっす」
真面目で
「君は……正直だね」
「よく言われるっす」
常に正直であることがいいことであるかどうかはともかく。
なんとなく真希はこの少年に自分と近しいものを感じた。
この場に
日葵が帰ってくる前に自室に
開け
学生達が待ち望む夏休み。そして日葵の誕生日はすぐ目前だ。
(ハルは
誕生日当日のシミュレーションを脳内で
(これでハルの私への好感度も爆上げ!ふっふっふっ、残念だが
大人げなく、勝利を確信する残念なお姉ちゃん。
この時真希は気付いていなかった。真希と杏奈に
その差がどれほど大きなものであったか。
その差を
真希は、知らなかったのだ。
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