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日葵の部屋に入ったという
「んっ……」
ベッド、勉強机、クローゼット、
男の子の部屋、というと少し散らかっているのを想像しがちだが、この整理整頓ぶりは小和には想定内。
「あ……」
小和が
「どうしたの?」
「あ、うん……ちょっと気になって。近くで見ていい?」
日葵が
そこに
様々な表情の、様々な動物達。
「せ……日葵君。動物、好きなんだ」
「うん。とっても」
目を細める猫、草地に
「この写真って……」
「全部僕のお父さんが
「すごい!もしかして、お父さんのお仕事って……」
「動物カメラマン」
ほえぇ……、と思わず小和は声を漏らした。
日葵が少々
「すごいなぁ。ちょっと
言い終わってから、はっと小和は口元を
こういう場合、えてして否定の言葉が返ってくるものだ。特殊な職業ならなおのこと、
だが、小和の心配は
「いいでしょ。僕の
その
こんな笑顔をできる人はそうそういない。少なくとも小和の知る限りでは日葵の他にいない。
子供っぽい?
小和が日葵に
「
呼びかけられてハッと我に
席に戻りつつ、胸の奥で高まった
「あ、あのね!日葵君!」
突然声を張り上げた小和に日葵がきょとんと首を
「できれば……できればでいいんだけどっ……!」
たいしたことではないのかもしれない。実際に何食わぬ顔で口にする人もいる。だが、彼女にとってはとても勇気のいることだった。
緊張で
「できれば、その、私のこと……」
ここまで来たらもう後には
「私のことは、下の名前で――」
トントン
がくん、小和の上体が
完璧なタイミングで鳴らされたノックの音が小和の言葉を
「ハルー、ちょっとドア開けてー」
ドア越しに
「ちょっと待っててね」
そう小和に
日葵がドアを開けると、そこには
「
言葉通り、その
「確かにそうかも。ありがとう!」
そう言って日葵は手を伸ばすが、いいよいいよと断ってするりと真希は日葵の横をすり抜けた。
丸テーブルの脇では
ノックのタイミングは完璧だった。そしてそれは決して
真希の部屋は日葵の部屋の壁一枚
(悪いけど、今日はもうこれ以上の
テーブルに盆を乗せ、コップに麦茶を
「ありがとうございます……」
少し疲れたような声色で小和が麦茶の入ったコップを受け取った。
「いいのよ。それじゃあ、勉強、頑張ってね」
やはり勉強という部分を強く
「新田さん、さっき何言おうとしてたの?」
「ふぇ!?いや、その……ナンデモナイデス……」
ドアの前、背中
(あとはお
やっていることは非常に大人げないが、
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