ブラコンお姉ちゃんは妹と協力したい。
(1/4)
「ええ?」
日曜日。昼食を食べ終えた後、自分のスマホを見た
「どうしたの?」
テーブルの上の
「今日、友達とテスト勉強するつもりだったんだけど、急に用事ができてこれなくなったって」
季節はいよいよ夏本番が近づこうとしている。学生達にとって何よりも待ち遠しい夏休みが近づいてきていたが、その前には前期期末テストという大きな壁が立ちはだかる。とりわけ中学三年生の日葵にとっては
日葵の
「あらら。それは残念だったね」
「うん……でも、他の友達は来るから」
二人だけの勉強会ではなかったらしい。日葵が友達を家に呼ぶことはちょくちょくある。一人の時もあれば
ピコン、とまた日葵のスマホが鳴る。
「……あれぇ?」
また声を上げた日葵。
「どうしたの?」
食器類をキッチンに運び終わった
「……女の子の名前」
日葵にスマホ画面に
なぜだか知らないが一瞬にして周囲の温度が少し下がったような気がした日葵だったが、
「今日家に来る予定だった友達、もう一人も来れなくなったって……」
温度が戻る。
「そっかあ。残念だったねぇ」
なぜか嬉しそうに姉。
「用事ができちゃったなら仕方ないよねぇ」
と妹。
血が
「うーん……じゃあ今日家に来るのは一人だけかぁ……」
ポツリとそう
「お兄ちゃん、その一人って……」
まさかなとは思いつつ、杏奈が恐る恐る、
「女の子……じゃないよね?」
「どうして女の子だって分かったの?」
ガタン、と真希が
「――杏奈、ちょっと」
「うん」
すたすたと妹を連れだって
日葵に話を
「――どう思う、杏奈」
「
壁に背を
かつてないほどに
「実際のところ、どうなのよ。学校では」
全てを言葉にしなくとも何を問うているのか通じる。
「モテるね、とても」
いかんせん大学生である真希には日葵の学校生活の様子を知ることはできない。だが、同じ中学に通う杏奈であれば話は別だ。
トントン
杏奈と同じく壁に背を預け腕を組んだ真希が人差し指で自分の腕を打つ。
「万が一、いや、
クスリ、と杏奈。
「それは大丈夫。お兄ちゃんぐらいの人気になると、抜け
多くの女子が日葵ともっと親しくなりたいと望んでいる。しかし、特別になれるのは一人だけ。
出る
スッと杏奈の笑顔が消える。ついでに
「――そのはずなんだけどなぁ」
今回の勉強会の突然の
偶然にしては出来過ぎている。
「多分、だけど。お兄ちゃんと一番仲のいい男友達の
「なになにちゃんが
そう、あくまで友達の
一人だけ抜け駆けするのは勇気がいるが、友達と一緒なら。
もちろん全てただの
「……
自身の弟を
「付き合ったりとかそういうのって、中学生にはまだ早いと思うなぁ私」
と、二十歳にもなってまだ誰とも交際経験のない真希が
果たしていったいいくつになれば早くなくなるのだろうか。
「よくないなぁ……うん、よくない……」
そう確認するように呟いたあと、姉は妹を見やった。
「杏奈……」
壁から背を
そこに宿る意思は同じであると信じて。
「手伝って、くれるね?」
妹は強く頷いた。その瞳に宿る意思はまごうことなく姉と同じもの。
今ここに、かつてないほど強固な姉妹の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます