ブラコンお姉ちゃんは弟にすごいって言われたい。
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朝っぱらから妹に
ぺらり、と始業前の
「……なに、あんた
いつものように真希の
「まぁあんたも何の
「んー?だいたいお店に言って、マネキンの着てる服一式買ってるだけだよ」
がくんと千佳子はつこうとした
「それであんたよくまともなかっこになるわね……」
「あんまり合わないやつだと店員さんが止めてくれるしねー」
確かに真希ほどの美人となれば、店員もファッションに関わるものとしてアドバイスの一つや二つはしたくなるだろう。そんな美人がろくすっぽ考えもせずに服を選んでいるのならなおのこと。
真希が雑誌を捲る手を止め、むむむと
「どったの?」
真希の様子が気になって千佳子が雑誌を
そこに書かれていたのはファッションについての記事ではないコラム。
「うっそ……あんたマジ……?」
友人が熱心に読んでいたコラムの内容を知るや千佳子が口元を両手で押さえて目を見開く。
「そっかそっか!とうとう残念なお姉ちゃんにも春が来たか!いやぁ、あんたの数少ない友人代表としてわたしゃ一安心だよ!」
「おう、私の友人が少ないって勝手に決めつけんなや」
「多いの?」
「……少ないけど」
美人もすぎると近づき
「で、相手は誰よ?応援するよ!」
目を輝かせて千佳子が問う。女子にとって、恋バナというものはいついかなる時であっても最大の
一方で真希はあいかわらずの
「ねぇ千佳子ー」
「ん?」
パタンと雑誌を閉じ、
「どうしてオトコじゃなくてオトウトを落す方法はどこにも
しばしの沈黙、そして千佳子はいつものように何食わぬ顔でスマホを取り出して
「――まぁ、そんなとこだろうとは思ってたけどねー」
期待半分、どうせ弟オチだろ、というのが半分。
この千佳子、
「いや昨日ね――」
そう言って真希が昨日
それを
「なに、あんたそれ
「うん」
「というかあれね、なんか聞いてるだけ胸やけしてきたわ。それもうただただ妹ちゃんもあんたと同類なんじゃないの?仲良くしなよ、ブラコン姉妹として」
「それはまぁおいおいやっていきたいけども」
真希と杏奈が仲良くするということも実際大事。
だがひとまずそれは置いておいて。
「ハルが私大好きになれば、昨日言ってた恋愛感情
「そりゃ好きになった人がシスコンになったら百年の恋も冷めるわな」
その場合、杏奈の中で
「ね?いい案だと思うでしょ?」
「もうあんたがそれでいいんならいいんじゃないかな」
「だからさぁ千佳子ぉ、どうやったハルがお姉ちゃん大好きになってくれると思うー?」
「知らないよ、私一人っ子だもん。というかあんたもともと弟君と仲悪いわけじゃないじゃん?それ以上ってなるとねぇ……」
「とりあえず
「――し、死ねと……?」
絶望を浮かべてパサリと雑誌を取りこぼす残念なお姉ちゃん。
「無闇にスキンシップしてる
「確かにハルの愛らしさは猫のようだけども、猫よりもハルの方が可愛い」
「うん、そういう話してないよね?」
そうことではなく。
「
「ふむふむ……」
真希は熱心に友人の
「でも私、ハルに触れずに二十四時間が
「病気か?病気だな」
ブラコンという
「ともかく、あんたなんか得意なことないの?」
友人に問われて真希は腕を組み、ふぅむと首を
「……料理、とか?」
思いもよらぬまともな答えに千佳子が目をぱちくりと。
「そっか!そういえばあんた一年の時はお昼のお弁当自分で作ってたもんね。いいじゃんいいじゃん」
真希の料理技術は家庭環境によって
母親を
日葵に温もりの
「でもちょっと前までは毎日料理してたんだよ?
杏奈らと同居するようになってからは家事は新しい母の仕事になった。当然料理も。だがそれまでは真希の仕事だったわけで、日葵にとって
「最近はしてなかったんでしょ?だからこそ
「なるほど……」
そうと決まれば
大学の授業が終わりしだい、さっそく真希は準備にとりかかることにした。
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