(3/3)
「おかえり。お姉ちゃん」
「ただいまぁ~」
その一言で一日の疲れが抜けていくのを感じる。一日とは言ってもまだ十七時過ぎだが。そして何となしに周囲を見回すが母と妹の姿がない。そういえば
「お母さんと
「お母さんは買い物。杏奈は遊びに
「ふぅん」
ソファの
「新しい学校でもちゃんと友達ができたみたいでよかったよ。
コトリと麦茶の入ったコップを
「一緒に住む
杏奈は現在中学二年生。
(あの子可愛いからなぁ……変な
くぴりと麦茶の入ったコップを
(ふむ……ということは、今は家にハルと私の二人だけか……)
となれば。
「ハル」
「?」
空いた両手を、
「お姉ちゃん、もう、我慢できない……!」
そして、血の
真希は日葵の腰をがっしりと抱きしめてそのお
(ああ~~~やっぱ大学から帰ってきたら弟を
すーはーすーはー。
「もう、
突然の姉の
思えば弟を吸うのも
最初の
姉が姉なら弟も弟。もはや日葵にとっても普通の姉弟の
果たして、それを第三者はどう思うのか。
「ただいまー」
ガチャリと
「あ……おかえり。早かったね」
一方、少し苦笑しつつ日葵がそう返すと、
「うん……
「お、おかえり~」
日葵の腹からくぐもった声が
その声が響いた方にとてとてと足音が近づいていく。
「……………」
動くに動けない真希は無言の視線をひしひしと感じた。見られている。
無音の
(いや、なんで私、こんなに
少なくとも真希の
そしてようやくその
「――えいっ!」
「わわっ!」
「ちょ、ちょっと!どうしたの?」
突然抱き着かれた日葵が目を白黒させると、
「お姉ちゃんだけお兄ちゃんとくっついてずーるーいー!」
そんな
「んもー!流石にこれは暑いよー!二人とも離れて!」
「えー、お姉ちゃんはいいのに私は
「そういうことじゃなくて……流石に二人同時は暑いっていうか……」
くすりと杏奈が
「じゃあ次は私ね!」
そして杏奈は移動した来春にまた駆け寄ってその隣に
「ちょ、ちょっと!」
(ハルを返して……?いやいやそれは一番駄目でしょう。だってハルは確かに私の弟だけど杏奈の兄でもあるわけだし……。でもこれが続くようじゃもう満足にハルの
弟成分が不足すれば姉は死ぬ。
そう、つまりこれは真希にとって
「お、お姉ちゃんもさっき帰ってきたばっかりだから……その、もうちょっと……」
弟を吸いたい。
その
「えー、でも私も今帰ったところだし……」
ふーむと杏奈は
「そうだ!お兄ちゃんに決めてもらえばいいよ!」
「お兄ちゃんは、私とお姉ちゃん、どっちがいーい?」
息がかかりそうなほどの
「どっちがって……どっちも暑いよ~」
特に何か感じ入るでもなく苦笑した。妹とはいえ血の
「もー、それじゃあ決められないでしょー」
じゃあ、とばかりに杏奈はさらに日葵に身を
「私の方が小さいからくっついてても
「それは……そうかも……」
まるで猫が飼い主に頭を
「いやいやいや!ほら、確かに私のほうが大きいけど、なんていうか、こう、
言い終えてから気付く。
(何言ってんだ私……)
妹に張り合おうとしているのもどうかと思うし、そのアピールポイントが柔らかいとは。
ちなみに身体全体のことであり、一部分に
しかし杏奈はそうは思わなかったようで。
「……私まだ
「違う……!違うの杏奈……!」
「あー、うー……今回は私の負けかな……!あ、ははは……」
これ以上この話をするのはよろしくない。
(いや、負けってなんだ……何の勝負だったんだ……)
自分に心でツッコミを入れる姉。
しかしそれでは杏奈の気は
「むー……私が大学生になったら逆転するから……」
姉の一部分に視線を注ぎ再戦に
(気にしてるんだ……まだ中学二年生なんだし気にすることないと思うけどな……)
しかし再戦を
「……ねぇお姉ちゃん、勝負しよっか」
「ふぇ!?」
突然の提案に
「どっちがお兄ちゃんにより気に入ってもらえるか。勝ったほうはたぁくさんお兄ちゃんと一緒にいれるの!」
「別に勝負なんてしなくても僕は……」
一緒にいてくれる。それはそうだ。家族なのだから。だがここでの一緒にいれるとはそういうことではないのだ。
どちらがより、日葵を
少なくとも真希はそう理解した。
であるならば、その勝負、ブラコンを
一度下げた頭を上げた時、最近の弟成分不足で
「……いいよ。でもその勝負、お姉ちゃん負ける気がしないなぁ……。杏奈がハルと一緒にいられる時間
今まで
「大丈夫だもんっ。私、お兄ちゃんのこと大好きだし!」
そして自分のものだとアピールするかのように日葵の腕をぎゅっと抱きしめる。
「二人ともどうしちゃったのさ……なんかよく分からないけど……恥ずかしいよ……」
自分を取り合って火花を散らす姉妹にいたたまれない様子の日葵はもぞもぞと身体を動かすが、その腕をがっしりと杏奈が抱きしめて
姉にしろ妹にしろ、度を
全てはこの可愛らしい日葵を愛でるため。そのためであれば姉妹であれ刃(?)を交えよう……。
このような
それは姉妹の間で
そして時間は
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