(2/3)
「
夕飯を食べ終えた後のどこか
「ん~?」
声をかけられた事で背もたれ
初めの
「あー、いや、ちょっとお話したいな~って……」
我ながらもっと自然にはできないものかとは思いつつも、もう声をかけてしまった以上突き進むほかない。ポンポンの杏奈の頭を
ソファに腰掛けて杏奈が見ていたバラエティー番組に視線を向ける。
「ごめんね、テレビ見てたよね」
「ううん、
そう言ってニコッと
真希の高身長とルックスはどちらかといえば
隣に
「どうしたの?」
「えーと……そろそろ三カ月ぐらい
「どうって?」
「なんか、こう、
いざ話を
ただ、杏奈の方はその言い
「――大丈夫だよ。お父さんとはまだそんなに話せてないけど、お兄ちゃんも、もちろんお姉ちゃんも
(う……)
その優しい微笑みと言葉に思わず手が
「お姉ちゃん?」
(はっ……つい……)
思わずまた杏奈の頭を
それだけ真希にとって妹という存在が身近になったということなのかもしれない。であればなおのこと、この関係が
「ハル……お兄ちゃんのことどう思ってる?」
しばしの
「お兄ちゃんは……可愛いよねっ!」
「――そぉなんだよぉ!」
思わず身を乗り出して同意する残念なお姉ちゃん。
「なんで男の子なのにあんなに
「分かるぅ!お手入れしている感じもないのにねー!」
「あとやっぱり、ちょっと抜けてるところがある性格がまた可愛いっていうか……思わずお世話してあげたくなっちゃうっていうか……」
「うんうん。ハルの可愛さの一番は外見以上にその性格なんだよね。何かにつけて反応が可愛いんだ、うん」
うんうんと何度も
この場に日葵がいればいったいどんな表情をしていただろうか。
そして
「それで……そのお兄ちゃんがどうしたの?」
ハッとして真希が
「はっ!なんというその、ハルと杏奈、最近仲いいなぁって……」
「そうかな?そうだったらいいんだけど……」
そう言う妹の顔に
(やっぱ考え過ぎだよ、うん。ハルが可愛い過ぎるから杏奈だって一緒にいたいだけだよね!)
変に心配していたことが姉は少し馬鹿らしくなった。
そうとも。我が弟にして杏奈の兄、日葵は可愛い。姉であろうが妹であろうが愛でずにはいられないのだ。
ただ、
「それでね杏奈、ハルは可愛い。だからできればお姉ちゃんにも……」
と、もう一つの本題に真希が入ろうとした
「お風呂上がったよ」
タオルを首からかけたパジャマ姿の日葵がリビングに戻ってきた。
「ハルうぅぅー!こっち来て!髪
異様に
「いいよぅ、髪ぐらい自分で
問われて同時に目を合わせる姉と妹。じゃあ、と妹のほうが名乗りを
「先に入ってくるね」
とてとてと
いいよと断ったにも関わらず姉が
「ふふふふふ……」
ただ髪を乾かすだけだというのに、ドライヤーを右手に、左手は謎にわきわきさせてほくそ笑む姉。
抵抗など無意味だと言う事を弟はよく知っている。
結局その日はそれで満足してしまい、もう杏奈と話をすることはなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます