第13話

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ここ最近、君と連絡を取るのが難しくなってしまった。

流行りのウイルスにかかった君は、都のホテルで症状緩和まで療養、ということになったらしい。明確な時間で言えば十日間なのだが、君が発症をいつにして数えてるのか分からないのでいつ出てこられるのかは不明であった。君と一度、数分だけ電話してわかったことは、毎日食事が決まった時間に出ること、それらのゴミを決まった時間に捨てること、その時間しかエレベーターを使えないこと。この3つだった。やれ同意書やら体温測定やら、君は慌ただしそうだ。朝4時ごろまで起きるのを好む君が、朝早く検温と食事があるからと11時には寝るようにするのを聞いて驚いた。



鼻の効かなくなった君は、流行りのウイルスへの陰性を証明しようとムキになって自費で検査を受けた。結果は陽性だったけれども。無症状に近いんだから黙っていれば、なんてもう二度と僕は言わない。誓ったんだ。君を全て肯定するんだと、君が人間であろうとする限り、全てを受け止めるんだと。


ああ、生きるのが苦手な君は、どうやってこの期間を過ごすのだろうか。12階にいるようだ、空を舞うなんて考えに至ったりしないだろうか。空はとっても魅力的だ。いつだって大きいこと、広いこと、澄んでいることには憧れてしまう。きっと君も同じだろう。東京の空気は汚いだとか、そんなことな気にしない。君の前ではそんな意見などゴミと一緒なのだ。きっと空の魅力は無限の広がりなんだろう。君は防犯だとか個人情報なんて関係なく、朝になったらカーテンを全て開けるんだろう。好きなことが一番大切だから。


ああ、早く君の表情を見たい。どんな顔で見惚れて、目を輝かせるんだろう。思い出せるけど描けない。悔しい、君に会いたいよ。

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