天照の告白

「私、結婚することにしました」

「は?」


岩戸から出てきた天照に一瞬で疑問で返した俺。

仕方ない。

生まれて11年。

前世も合わせれば51程だろうか。

前世でさえこの年齢で兄弟が結婚とか経験したことがなかった。

この際なんて返せばいいんのかわからない。

純粋におめでとうというべきだろうか。

それとも、相手は誰かと追及するべきだろうか。

ウーム。


悩んだ末。

「相手は誰なんだ?」


後者を選択した。


「相手はね、同じ太陽の神様なんだけど、なんだっけ。シャムシエルだっけ?いや、違うわね。確かねー」

「太陽の神様で男神、だったらルーか?」

「いや、ルーではなかったわよ。うーん、」

「じゃ、エンドヴェリクス」

「かっこいいけど違うわ。あ、思い出した。フレイだったかしら」

「北欧神話じゃねーか!」


なんなんだよおい!


「ゼウス!お前あれか?異世界人か?」

「いや」

「それはないわ」


ゼウスとネツに否定された。

違うのかい。


「じゃあなんだ?なんで俺の故郷の神たちの名前が広がってんだ?」

「しらんし、お前の故郷は鬼人の里だろう?」

「そうなんだけど、こう……説明するのがめんどくさいな」

「じゃあすんな」

「おう」


なんなんだこのやりとりとりは。


「まあともかくそういうことなの」

「ゼウス」

「我もびっくりだ。しかも、知ってると思っていた」

「それはルーフィ……」

俺の視線がルーフィを刺した。

「ああ、確かにそんなこと言われてたな!いや~うっかりうっかり……」

そんなことをのんきに言うルーフィの反応は、俺の逆鱗に触れてしまった。


「全てを灰燼にする爆炎よ、全てを巻き散らかす暴風よ、今一つになりて、純粋な火力へとほかならん。」

「え?」

「その罪を犯した愚か者を、骨の残らぬまで灰と化す化け物となるがいい」

「ちょ、まってほんと……」


「エクスプロージョン!!」




俺の知ってる爆発魔法中の爆発魔法を思いっきり発動させた。





俺のエクスプロージョンの詠唱はいわば思い付きで唱えたものなので本物の詠唱には及ばない。

よって、ルーフィでも生き残れるほどに弱いエクスプロージョンが放たれた。


いやほんと。

ユグがいる俺は魔法の威力が半端なく高くなっている。

本物のエクスプロージョンであったらルーフィなど簡単に滅ぼすことができるだろう。

そして今俺は。


「バッカじゃないの!?エクスプロージョンは爆発系でも最上位よ!?本物だったらルーフィは跡形もなく消し飛んでて死者蘇生リザレクションも効かない灰になっていたでしょうね!」

「えへへ、川の向こうで父さんと母さんが叫んでら。二人とも、今行くからね。え?来るな?」

「ルーフィ!それは三途の川よ!行かなくて正解よ!」

「すみません」


ネツに怒られていた。


「すみませんじゃすまないのよ!あールーラ、魔力かして」

「なんでよ!」

「魔力がなさ過ぎてだりゅい」

「演技だよね。ねえ演技だよね?」

「へんぎがにゃひほ」

「演技だー!ハイ演技だー!魔力なくなって舌がしびれるなんて聞いたことないもん!」

「ばれたか」

「ばれるわー!」


こいつら魔王なんだよね

はっきりいうと小さい子供みたい。

見た目は完全に子供だけど。


「マーク」

「なんだ天照。反省で謝りに来たのか?」

「そういうことよ」


天照が謝りに来た。

後ろではネツとルーラが言い争っている。


「後ろ騒がしくてごめんな」

「いや、いいのよ。迷惑かけてごめんなさいね」


ほんとだよ、といいかけてやめた。


「ん?そんなことよりゼウスはどこだ?」

「あら?ゼウス様ー!?」


気づけば、ゼウスがいない。

どうしたのか


「まあ、ゼウス様に関しては保留で。あのひと、けっこう自由人だからさ」

「どんだけ?」

「仕事放棄するぐらい」

「仕事って?」

「悪魔と天使の争いの審判よ。ゼウス様が審判しないとあの人たちすべての種族を滅ぼしてでも決着をつけようとするわ」

「今すぐゼウスを呼んで来い!」


ゼウスはこんなことやってる暇はなかったようだ。


「よんだか?」

「おい、お前今すぐ悪魔と天使の争いの審判やってこい」

「まあそんなに激高するな。この事件の犯人を持ってきたぞ」


その手には、ぐったりした男が……

「あーーーっ!!」


天照が男の顔面に肘鉄した。


「ぐはっ!」

「なにしてくれるのよ!あんたのせいで私すっごい傷ついたんですけど!」

「だ、だって偉そうにしててムカついたんだもん……」

「むっかああああ!」


天照のこの反応は……

「お前か!スサノオ!」

「な、なぜ俺の名を……」

「エクスプロージョン!!」

「え、うそっ!」


俺は犯人に爆発魔法中の爆発魔法を叩きこんでいた。

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