魔王たち編

魔王

今日もつかれた。

ただ、最近伸びが実感できなくなっている。

もしかするとカンストが近いのではないだろうか。

いやこの年齢でカンストは絶対ないって。


「おいこら、あなたを兄として認めたのは弟が欲しいからなのよ、弟はどこに行ったのよ。」

イルカが言ってきた。

かわいくねぇ。

「フッ!この男は俺らを兄弟にするために虚言を吐いたのだろう。フフッ、よほどこいつはロリコンで……いだいいだい!いだいぃ!」

途中から鼻を引っ張ってやった。

「痛いぞ、何をする、ロリコンの分際で……いだい、いだいって!本当にごめんっで!」

いつまでも生意気だなこのガキ。

「女の子に何するのよ!」

「そうだそうだ!私だって女の子なのだから!」

「うそ、兄さま戻ったの!?やったーー!」


そう言えばイルカは知らないんだった。

アルカは、男の子として都合が悪いときは自分のことを女の子呼ばわりするのだ。

あれは、すでにアルカたちを妹にしてから1年ほどたっただろうか。


「ちょっと、マーク兄、もうちょっと優しく訓練してよ!」

「あ?いつも俺こんな強さでリギドにしごかれてるぜ?」

「私は女の子なんだからもっと気を使って……」

「待ってお前今なんて言った?」

「もっと気を使って……」

「その前だ。」

「女の子なんだから」

「お前男の子だろ?」

「はぁ?何言ってんの?ついに頭おかしくなって……いだい!いだい!」

「もしかして戻った?」

「鼻をつまみながら戻ったかなんておかしいこと言わないで!女の子に対してひどいんだけど!」




そんなやり取りがあったものだ。


「姉さまー!」


飛びつくイルカ。だが、これは一時的なものであり、すぐ戻ってしまうのがアルカなのだ。


と、少しかわいそうな目でイルカを見つめていると。


(ほいほいマーク?私ネツ。今空いてる?)


ネツから『念話』というスキルを介した質問が飛んできた。

(もしもしこちらマーク、今空いてるぞ。アルカたちも来させていいか?)

(ほいな。じゃあ、客室まで来てね。)



客室ではネツが座っていた。


「来たぞネツ、何か用か?」

「仮にも女の子がいるかもしれないんだからノックぐらいしようよ」

「しらん。俺は男子がいようが女子がいようが老人がいようが赤ちゃんがいようが勝手に入る男、マークさんだ。そんなにノックしてほしいならドアの前にでも書いとくんだな」

「とりあえず『最低男、ノック無しの立ち居を禁ずる』とでも書いておくよ。」

「そんなこと書いてみろ、呼ばれずともネツの部屋行って押し倒してやる。」

「そんなことしたらマーク君にはすぐ逝ってもらうから大丈夫だよ。」

笑顔でやり取りする俺たち。だが、その目は一切笑っていない。


「マーク兄コワいなぁ……女の子の部屋に勝手に入ってそのうえで押し倒すなんて……」

「ネツさんの逝ってもらうってどこに行ってもらうのかしら」


俺の後ろではアルカとイルカがひそひそ話をしている。

天国です。


「さて、そんなことは置いといて、今回呼び出したのには訳があってね、魔王たちの会議を開こうって一人の魔王がうるさくってね。そんなにやりたいっていうのならマーク達も参加させたいなーって。ほら、ユグはトヴァと一緒で超強い解析系スキルでしょ?だから……」

「マジで?」

「マジよ?」

……


「「参加で。」」

「アルカ!?イルカ!?俺への質問だぞ!?」

「オッケー!じゃあそのように申請しとくね!」

「ちょっと!俺の拒否権は!?」

「アルカ達が言ったんだから拒否権はないよ?」

「クッソがぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


なんか勝手に、魔王たちの会議に参加させられるようになってしまった。





「いい?先に言っとくけど魔王たちは今のマークじゃあ比べ物にならないくらい強いからね?逆鱗触れるとワンパンだよ?いくらユグがいるからって油断しないでね?死者蘇生リザレクションぐらいはかけてあげるけど、本当にくだらない理由で死んだらかけてあげないからね?」

「ワンパンか……」


俺は魔王たちについての説明を聞いていた。

もちろん、言い出しっぺのアルカとイルカも一緒だ。

今のところ聞き出せたのは名前と種族。


世界で最初に生まれた龍と鬼神のハーフ。『鬼龍神族』のネツ。

巨人族の王様で、魔神相当の強さを持つ、『巨魔族デットジャイアント』のグレイシア。

総魔力量と知識が半端ない妖精の王、『妖精女王クイーンピクシー』のルーラ。

元々鬼人オニビトだったそうだが、超進化したらしい『鬼神龍』のディガロ。

吸血鬼に上級天使が融合したといわれるらしい、『ヴァンパイアエンゼル』のブル。

龍であり人間への擬態も可能な『龍人王』スラガ。


聞いただけで吐き気が出るほど強そうな種族だった。

「「すかー」」


アルカとイルカは寝ていた。

「「んがっ!」」

ひっぱたいた。

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