剣士の復活

(まて、ここどこだ?)

ユアが浮かんでいたのは白い靄が漂う空間だった。


(さっきもやったなこれ)

この短時間で2回目とか勘弁してほしい。

次はどうせなのだからさっき来た方じゃないといいのだが。

何度もあいつのお叱りを受けるのはメンタル的につらい。

もちろん好きな人ということでなく師匠という意味である。

師匠に叱られるとつらいのだ。

これも2回目か。

あいつじゃない別のやつが……


『こんのばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』


ッチ。

やっぱりこいつがきやがるか


『黙りなさいな!私たちの中で死者蘇生リザレクション使えるのは私だけなのよ!』

(お、おう。お前死者蘇生リザレクション使えるのか。あれは一応神聖魔法の中でも一番扱いが難しいとされている魔法なんだがな……)

『そんなこったどうでもいいの!あんた何やってんの!?生きて帰ってきてって言ったじゃない!』

(知らんよ。あいつが強かった。手も足も出なかったからな。)

『スキルが影響してるってわからないの!?せめてもの対策であいつのスキルが切れるまで待ってればよかったじゃない!そしたらワンパンもされなかったでしょうに!』

(んなことわかったもんじゃねえよ。お前が異常なだけじゃないか?)

『異常って何よ異常って!もういいもん!あんたを蘇生しないもん!』

(いいのかよ。お前の姉が悲しむぜ?)

『あんたはずるい!ずるずるよずるずるぅぅ!』


なんだこいつ


シスコンなのか自分の名誉好きなのかどっちだよ。

『だーーーー!もういいよ!蘇生してあげるよ!もうちょっと自分の命を大切にしてよ!』

(でも戻っても負けるだけな気がするんだよね。)

『ああそれね。それならあなたにスキルギフトを送っといたからこれで対抗しなさいね。』

(!!っとそういえばお前は数ある『多重魂神マルチプルソウル』の中でもスキルギフトが一番得意だったか。)

『ネツさんの『多重魂神マルチプルソウル』の集まり行ったら結構強い人いてお姉ちゃんに行くなって言われちゃったんだよね。まあ行ったけど。』

(それはお前の弱みとしてピンチの時までとっとこ……)

『嘘だよ!』

(例えばそうだな、う~んこいつが……)

『嘘だってばぁぁぁぁ!』


そこまで言うと『あああああああ!』とか言いながら体を揺さぶってきた。

おいおい、霊体だろこの体。どうして触れてんだ。





『ほら、できたよゲート。行っておいで。』


そういうこいつの前にまがまがしい門が現れる。


(おう、ありがとうな。っとそうだ。『多重魂神マルチプルソウル』がどんなものかわかったか?)

『ん?うんにゃ。全貌はつかめてないね。つかめているのは『魂』が派生コピーされたもので、オリジナルの魂に刻まれたスキルや魔法を使えるってぐらいかな?』

(なるほど。だいぶ進んだな。俺がお前らと修行してた時は『ある』としかわかってなかったじゃないか。)

『何年前の話よ懐かしい。なめるなよ~私たちのトヴァは優秀だからな~』

(おうわかった。じゃあ今度じっくり聞かせてくれ。)

『ちょっと扱いが雑くないですかね?そもそもの話、ネツさんの『多重魂神マルチプルソウル』ということがどれだけすごいかわかってるの?それこそ……』

(ハイハイソウデスネソノトオリデス)

『ひどい受け流し方だねそれ!』





(ん?)

適当なやり取りを終えたユアがゲートをくぐった瞬間、その疑問が思い浮かぶ。


『どした?』

(お前今何歳?)

『……12歳ですけど』

(おまっあの時から変わらないじゃないかよ!)

『……私たちは年取らないから永遠の12歳ですけど?』

(戸籍的に……)

『女性に年を聞くとかどんなクズ男よ!』


その発言によって、ユアの意識は刈り取られた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る