敵討ちの会場

敵討ちの相手がいるのは『魔物達の楽園』と呼ばれる場所だった。

魔物達の楽園というのはその名の通りものすごい魔獣が生息している場所だ。

12mを余裕で超す大蛇から2㎝程度しかないライオンまで。

凶悪なものからなつっこいものまで、いろいろ場所である。

鬼族オーガから竜系蜥蜴リザードマン犬獣族コボルト小人ハーフリング獣人族ライカンスロープその他諸々。

知能を持ってないものの方が多いがちゃんと自我を持ってるものもいる。

自我を持っているものは弱くない限り魔物達の楽園の一番上に立とうとするものだ。

ただ、弱いものは違う。

安泰を求めて人間の領地に行ったりする。

新しい暮らしを求めて森を切り開き村を作ったりする者もいる。

来世を望み自殺する者もいる。

『魔物達の楽園』という場所は、弱肉強食が絶対ルールであり、だれかに殺されても文句を言わないことの方が多い場所。

むしろ、文句を言うのはルール違反であり、戦場に立つ勇気のないものはその場で破門。

にどとその種族を名乗ることは許されなくなる。

ここでは人権などない。

獣権すらない。

生死を分ける戦いが絶えることなく起きている。

それが、『魔物達の楽園』という場所なのだ。



『魔物達の楽園』をマーク達一行は駆け抜けていた。

龍魔帝国ドラゴワールドの位置からすれば、当たり前の行動である。

龍魔帝国ドラゴワールドは、地図上の真ん中の一番北側にある。

真南に『魔物達の楽園』のある大陸があり、『魔物達の楽園』の周囲に人間などの国がある。

大陸と龍魔帝国ドラゴワールドは海に阻まれているが、船もある。

船さえあれば移動は楽というものだ。


かたき』は、ネツの知り合いである可能性が高いとのこと。


「いい?マーク。あなたのいう『かたき』は、私の昔の知り合いである可能性があるわ。鬼であり、神や人間に喧嘩を売り、その戦いに参加しないその怠惰ぶりは私の記憶が1人当てはまるのよ。」

「ほう、それは誰なんだ?」

「元魔王、シュウ・ハウバン。鬼王族であり、『鬼畜覇王オーガキング』の称号を私に与えられし者。たしか、配下の能力を使える能力だったはずよ。」

「ふむ、そうか。」

「知り合いが殺されるのはちょっと嫌だけど、あの子はずっと死んだと思われてたの。だから、今更なのよ。敵討ちはあなたがしたいのだからやらせてあげる。でも、これ以上やんないことね。」

「それは約束できねえな」

「ったく。」



という会話を思い出し、マークは思い出にふける。


『魔王』


はるか昔、10人いたといわれていたが、100年ほどまえに大革命が起きたことにより6人になったという。


『鬼龍神族』であるネツを筆頭に。

『巨人族』

『鬼神龍』

『妖精族』

『吸血天使』

『神人族』


昔いた魔王は、とても弱かったとのこと。

リギドでも勝てたかもしれないらしい。

でも、魔王と渡り合えるリギドがすごいと思うのだ。


今の魔王は知らん。関わりたくもない。

魔王が敵かもしれないということで気にしただけ。


「魔王だろうが何だろうが、俺らの幸せを壊した罪、断罪させてもらうぞ。」

「お~こわ。罪状は何ナノ?」


漏れていたようだ。

「それにこたえる義理はねえな」

「む~っ意地悪め!」


というか、ルキアもすごいと思う。

ってか俺より強いのだからまあすごいのは確定だわな。



茶番を繰り返しながらも3日が経過した。

思ったより早く着いたが、多分種族値がいいんだろうな。

とか思いつつ決心した。

この城は、つぶす。

ほかには手加減するが、敵に完全な忠誠を払う者や、本気で守ろうとするやつは例外だ。

そういう者は、先につぶしといたほうがいいか?


「ああ、そうだ。そういうことだな、ああ?まあな、は?いいけど……」


リギドが独り言ぶつくさ言っているが多分ネツと通信でもしてるのだろう。

この距離でできるのだからものすごいものだ。


「なあ、もういいか?……母親かよ!そんな気にしなくて大丈夫だっつーの、俺子供じゃないから!うん、うん。オーケーだ。わかった。気を付ける。じゃあな」


さてと、リギドも会話を終わらせた。

準備万端。


「いくか。」


その一言に、敵討ちという前書きの蹂躙が始まったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る