龍魔帝国2

結局会議は3時間という長い休憩を得て再開した。




*ったく、ネツが極大アルティメット魔法マジックの詠唱を唱え始めた時はどうなるかと思ったです。*



とかトヴァがぼやいていたが気にしない。



*お前が原因なのですよ!!!!*



おおっと、そうなんですか

俺はそこまで悪くないと思うけど



*悪いのです!*




むむむむむ

まあいい。割り切ろうではないか。


「もう、ロリっ子ってもう。このショタっ子に言われるとは思いもしなかったわ」

「ショタっ子言うな!!!!」


ショタっ子はちょっとむかつくのだ。

「あんただって言われるのいやなんでしょ!!!!」

むむむ、正論だ。

なので俺も引き下がるとしよう。



*いい判断です。*



おほめの言葉をもらっちゃったね。


「はいはい。言い合いもそこらへんにして龍魔帝国ドラゴワールドに移住してもらうか決めてもらわないと」



*ネツは自慢したいだけでしょ?*



「そ、そんなことないもん」



*ほんとです~?*



仲いいな

まあいいや で、たしか龍魔帝国ドラゴワールドに移住するかどうかの話だったっけ?


「そうそう、このまま生きていくか龍魔帝国ドラゴワールドに移住して色々するかのどっちかになるね。ただ、移住するなら実力テストとかいろいろしなくちゃいけないけど。」


ふむふむなるほど。

だが、それを選ぶのは俺の自由、ということか。

俺としてはいかない理由がない。

いままでの言いようだと衣食住は保証してくれそうだ。

強い奴――すくなくとも天照アマテラスの横蹴りを片手、しかも素手で受け止める奴――に指導してもらえば強くなれるだろう。

もしこのロr……ネツが教えてくれなくとも配下が教えてくれるならいいんだが。

少なくともこの黒髪は天照アマテラスよりも強そうだ。

あと、この金髪。



結論から言えば俺はここに移住してもいい。

ていうか、移住した方がメリットもある。

天照アマテラスとルーフィがいいならば移住するだろう。

うん、いいと思う。


「お……」

「私たちは移住した方がいいと納得したわ」


おっと、早いな

俺が言う予定だったんだが……


「うむ。俺もそれがいいと思う」


ルーフィも納得。これで良しっと。


「ok!そうと決まったらさっそく実力テストに入ろうか」


うむ。よかったよかった。





「ほい、ここでおっけー」


そう言って連れてこられたのはまさに闘技場のようなイメージの場所だった。

イメージするならローマのコロッセオである。

「ほっほ~コロッセオじゃねーか」

「お、よく知ってるね」


まあ異世界人だしね。



「っというわけで、紹介しましょう。育成部門の長、アルファ君ですっ!」


と紹介されたのは、俺と同じ鬼の女子だった。

いや、女性といったほうがいい。

完全な成人だった。

角は1本。

ネツと同じ赤髮の、ポニーテールをしている。

っといってもネツの髪色は真紅なんだけど。

だからちっとだけ違うな。


「今紹介された、アルファだ。育成部門の長をやっている。」


と、自己紹介をしあった。

いいやつ。


「まあ、簡単に自己紹介は終わったことことだし、さっそく始めよう」

あ、そういえばここにいたのは実力テストとやらをやる必要があったからだった。

まあ勝てるとは思いますしね、ハイ。

天才カシコサの判断では、危険なしで勝てる相手、と表示された。

その予測を覆すならば、天才カシコサを上回るスキルをゲットすること、実力を隠しているなどのことじゃないとだめである。


……ん?まさかね、うん。

仮にも魔王に使えるもの、そこまで弱いものなのだろうか。



最初の試合はアルファVS天照アマテラス

なんか先の見える戦いである。

俺でも勝てそうな相手に天照アマテラスが負けるわけがない……と思う。


「はじめ!」


というネツの言葉で勝負は始まった。

天照アマテラスの得意とする魔法は《太陽魔法》である。

《太陽魔法》というのは《特殊魔法ユニークマジック》と呼ばれるものであり、個人が作り出した魔法のことでもある。

その名の通り太陽のような灼熱……というわけではない。

というかそんなに温度が高かったら熱無効などのスキルを持っているやつ以外は死に至るだろう。

つまりそういうことである。

実際は100~1000ぐらいの温度しかないらしい。

といっても本気を出せば10000度すら超えられるらしいが。

そんなの100度でも耐えきれんとは思うけどな。

たださすがは魔法というべきか、周囲に影響を出していない。

なぜかというと、熱魔法など、火などをを司る魔法を例に解説してもらう。



〈火や炎の魔法は物理法則にしたがうならば酸素を燃焼させて使うもの。だけど酸素の代わりに魔力を使うことができるのが魔法であるがため、酸素を使わないというのが魔法の力であるのです〉



うむ、わかりにくすぎる説明ありがとう。

理解するのならば、理科の実験でならった酸素を使い炎を燃焼させる実験。

酸素を魔力で代用することで炎を燃やすことができる。

酸素を燃やしていないので密室でやろうが関係ない炎が出来上がる、ということである。

といっても自分の魔力が尽きてしまえば酸素を利用してしまうので長時間の使用は避けましょう。

そういうことである。

ていうか1つ思ったことがあるのだが

炎魔法は魔力の給与で燃やし続ける。

ならば途中で魔力の給与を止めたらどうなるか。

答えは酸素を燃焼するのだ。魔法の炎で密室に追い込んで魔力給与を終えたら……

強いな。我ながら恐ろしいことを考えてしまったものである。


おっと、そんな暇はなかった。

さっさと天照アマテラスたちの戦いを観戦しよう。


そう思った時だった。


「そこまで!」


という声が響き、試合が終了したようだった。

あー畜生め

俺のばかバカ馬鹿!

なんで《太陽魔法》のことを考えてたんだ!

まあいい、次に期待しよう。

幸いにも生まれた順ということで俺は最後だからな。

そして始まったルーフィの戦い。

意識した瞬間に濃い緑色の煙が目線を遮る。

あ、そっか。

これがあるから関係ないのか

じゃあ考えてた方がいいな。

ということで、理解できてなかったスキルについて説明を受けることにしよう。



スキルにだって階級がある。

一番強い上位能力グレードスキル

これにはいろいろあるらしい、っても他に比べると圧倒的に少ない。

英雄などが30%ほどの確率でゲットできるとか。


二番目に強い上級能力プラススキル

そこそこい強いスキルらしい。

『兆速回復』というスキルが例らしいが……

なにそれ強そう!


一番弱い能力スキル

通常のものらしい。

よくRPGにある『剛力』や『身体強化』、解析単体ならばこの位置になるらしい。

『解析』だけではなく『鑑定』が合成されて初めて上級能力プラススキルになれるらしい。


そして

特殊能力ユニークスキルと呼ばれるものがある……らしい。

どんなことをすれば手に入るのか、だれが持っているのか、すべて謎。効果も謎らしい。

なるべくかかわりたくないな。



〈そ……〉



「そこまで!」


終わったようだ。




さあ、今度は俺の番である。


『視覚強化』発動。

『聴力強化』発動。

『嗅覚強化』発動。

魔雷帝王マライテイオウ』の『電光石火』発動。

天才カシコサの『思考加速』、『解析鑑定』発動。


さあ、ほぼ全ての強化系スキルは発動した。

やるぞ。





頑張るぞと生きこんだ割には、圧倒的な勝負だった。

どちらが勝ったって?

アルファの圧勝。

言い換えるならば俺の惨敗。

なんでだろうね。


「は?」


とつぶやいてしまったのは仕方がないだろう。

だって勝てると思ってたんだもの。

いや、なんで?


「ネツ様、こいつ伝説能力レジェンドスキル持ってないですよ。」

「うんそうだねぇ」


は?

なに伝説能力レジェンドスキルって


まあ、悩んでも仕方ない。とは言えないけどいいや




いいわけないけど。




いいわけないけど。



その後は部門の様子を見学した。

育成部門、軍事部門、開発部門……


開発部門は凄かった。



「紹介するよ。アルファのついになる存在、開発部門長の長、オメガ君です!」

「紹介にあずかりましたオメガというものです。以後、お見知りおきを」

「オメガ君はアルファに比べるとすっごい固くてね。」

「仕方がないでしょう。私事ではない限りは」


というあいさつの元、見学を行ったのだが……



「これスマホじゃねーか!」



そう、スマホがあったのだ。

「スマホって何ようっさいわね」

「本当にうるさいな、もっと考えて音量を下げろ」

「でも何で知っているのかな」

「我が国でしか研究を行っていない極秘事項ですけどね」


反応はこんなものだったが、すでにこいつらなど眼中にない。


「すっげえ、ほぼ変わんねえ性能持ってるじゃねえか。多少のラグはあるけどさ……」

「お、すごいね、ラグという言葉も知ってるの」


という会話三昧になった。


その後も驚きのことばっかりだった。

「えっ!?テレビもってスマホの技術があれば結構簡単に作れるかな……」

「こっちにはキッチンコンロまで!?ちゃんと火もつくし!」

「体重計は!?体重計!!……ないのかよ」


現世の技術が色々あってうれしくなった。

だが一番の期待はスマホだな。

できるならば、現世の曲をYo〇○○beで再生できるかどうかなんだよ。

そうしたらロイドとかの曲を……うへへへへ


「悪い顔してるわね」


知らんよ。


ほかには、軍事部門の長、人間ヒューマンのリギド、制作部門の長、空間竜王ドラゴンロードのアナディルカ。


遊び部門とかいうわけわからん部門の長、獣人ライカンスロープのルキア。



いろんな部門を紹介された。


そして、晩御飯。作ったのはアナディルカ。


いや、超うまかったな。


そして、温泉に入った。

温泉って言っても、ただのお湯ではない。



〈効果:肩こり、腰痛、リウマチ、冷え性、自動回復など〉



と、高性能だった。

もちろん入ったのは男湯である。

女湯なんて入るもんか。


……本当は、うん。


一緒にいるのはリギド、ルキア、オメガ、ルーフィの四名である。

やはりルキアは男だったようだ


ああ癒される。

もちろん鬼人の里にも温泉はあったがこっちの方が格は上だ。


「そうだルーフィ、伝説能力レジェンドスキルってなにかわかるか?」

「お前にはまだ早い。」

むむっ

「ははは、まあな、今の年齢は伝説能力レジェンドスキルを獲得なんてほぼ不可能だろうからな、今知ったって意味ないんだよ」

と、リギドから教えられておとなしく引き下がる。

「あれ、お前らは持ってるの?」

「持ってるぞ」

「持ってる」

「持ってるよ~う」


ルーフィ、リギド、ルキアの順で答えが返ってくる。


皆持ってるじゃねえか。

いったいいつが一番ゲットしやすいのだろう……


「あれ?誰か来た?」

何か、気配を感じたのだ。


「うん、来たねぇ。」

「いつも来るなって言ってるんだけどなあ」


そう答えたのはリギドとルキアだった。



「やっほ~」


そう言って入ってきたのは美少女――ネツだった。


「はああ!?」

「君なっていってるだろうがよ!」

「仕方ないでしょ。マークとも話したかったんだから」


とか言ってるけどこっちとしては迷惑極まりない。


まあ結局俺らが折れる形になって、いろんな話をすることになったのだった。



その日ひ、夢を見た。

そこには、ウィラがいて、サクラがいて


ガルスがいて……


「ガルス……」



そうつぶやいた時だった。


ウィラが黒いものに巻き付かれ、サクラは倒れ、ガルスが炎に包まれた。


「おい!!」


お前らがいなくなったら、俺は、敵を取るまで幸せになれないぞ!


それは、遠い遠い昔。

サクラに言われた言葉の中。


『よく聞きなマーク。あなたは、鬼人オニビトとして生まれたわ。でも、鬼人オニビトが人間と違うのは頭に生える角のみよ。あなたは、幸せになるの。いいわね、もし人間が私たちを魔物といって殺しに来ても、あなただけは守ってあげる。でも、人間を恨んだりはしてはいけないよ。』


それを守らない。

叱りに、戻ってきてくれれば。怒って戻ってきてくれれば。どれだけいいことか。

現世に比べたら住みづらかったけど、ここも幸せな家だったんだ。

戻って来いよ。

戻って来いって。


願いは儚く消える。

その願いがかなうことはない。

いつの間にか夢は終わり、楽しい見学があるかと思った。


それでは満たされない。


神人鬼大戦争ラグナロク』を起こしたやつを、俺は許さない。


絶対に忘れず、いつか復習してやる。



「なるほど、それがあなたの選択肢なのね。」


気づけば俺はネツに伝えていたのだ。


「ああ。その通りだ」


俺はもう覚悟を決めた。


「それならここにおいで。鍛えてあげるから」



持てるだけの気合と根性を込めて

俺は「押忍!!」といいはなった。

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