第5話 そのこと

 10時から14時まで、スーパーでのパートに出かけないといけない。その時に、早紀のことを20歳の娘さんがいる鹿島さんに相談しようか悩む。でも、誰かに聞かれて、噂話として広がってしまっては困ってしまう。

 足取りが重いが、パートに向かった。野菜コーナーに野菜を並べ終わって、バックヤードに行くと、鹿島さんに「何か困ったことあったら言ってね」と言われてしまう。「はい、ありがとうございます。」と愛想笑いをして、何もないことをアピールした。

パートの時間を終えると、来たときは考え事をしていたが、すぐに悩みなの忘れていて仕事をしていたことに気づいた。

「久しぶり」家に帰る前に、高校の同級生だった楓はカフェで会う約束をした。「元気してた?」とお互いの近況について話していると、「百合がさー」と言われて、そういえば、楓は百合ちゃんの叔母だった。

百合ちゃんが彼氏と別れたらしく、独身貴族の楓は姪の百合ちゃんから悩み相談をよく受けたらしい。

ここで、早紀のことが気にはなったが、何も楓には言えなかった。

「そでさ、ごめんね。昨日、早紀ちゃんに百合の彼氏に別れ告げさせて」

「えっ?!」

「やっぱり、親には言わないか。」

楓は申し訳なさそうに、何度か謝まられた。

「まあ、子ども同士のことだから親は何も言えないよ」

それしか言えなかった。


「ママ、楓ちゃんに何か言われた?」とキッチンにいた私に早紀が聞いてきた。「何を?」知らないふりをしてみた。

「別に、百合に頼まれて、断れなかっただけだから」

「そう、でもあまり他の人の問題に首を突っ込むと困るのは早紀だからね」

「分かった。今回でよく分かったよ。」

その場からトボトボと、自室に歩いていったので、詳しくは聞くタイミングを失ってしまった。

 夜、健司が友達の別れの手伝いをしたこと知って、女同士ってよく分からないと不思議そうにしていた。早紀には、何も害がないことを祈るだけだ。


[終わり]



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どう聞けばいいですか。 一色 サラ @Saku89make

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