第3話 葛藤
「どういうこと」健司に確認すると、お風呂から上がって寝室に戻ってくる際、早紀の部屋から「別れよう」と早紀の声が聞こえたらしい。
私は聞いてはいけないものを聞いてしまった気がした。気分が滅入ってくる。それはきっと、健司も同じなのだろう。
どうすればいいのか分からず、健司に「どうするつもりなの?」と聞いてしまう。
「様子みるしかないだろう。俺に早紀は聞かれてことは知らないだろうし。」
「早紀に、何も聞かなくていいってこと?」
「ああ」
何もしないことが一番、穏便に済むのかもしれない。が、何もできないことが心を締め付ける。
「余計なこと言った。ごめん。」と健司が深くため息をついた。私も何も言うことができなかった。
「ごめん、おやすみ」健司は、布団を被って寝てしまった。明日の朝、どんな顔をして早紀と顔を合わせればいいのか、分からなくなってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます