日本横断ツーリング6
日本横断ツーリングの帰路は全員でいつものペース。
休憩や給油ポイントは基本的に同じ、ただし休憩時間は多め。
往路で全員の燃費事情が把握できたので、帰りの給油は渋滞次第で諏訪湖SAか双葉SAかどちらかを臨機応変に選択することにした。
復路の中央道はさすがに渋滞が予想される。
動かない程の渋滞の時だけラーメンを食べに行くときに別れた3チームになり、すり抜けをすることにした。それぞれ上級生が先導する形。
ユキ・孝子・ゆず季ちゃんチームは孝子に先導させると何キロ出すかわからないのでユキが先導する。
渋滞時すり抜けは路側帯が一番安全なんだけど、ここは別の意味で一番危険だ。見えないところからひょっこりと警官が現れる。意図的にそういうポイントを作っているとしか思えないくらい見事にパトカーが隠れられる場所が高速道路にはいくつもある。
なので基本的に走行車線と追越車線の間を抜けていくが、ヘッドライトだけではドライバーに気付いて貰えないこともあるので、ハザードがある車両ならばハザードを点滅させながらが望ましい。
そして両車線とも完全に動いていないときなら、
片側の車線に車が入ってくるほどの空きができていないか見ながら進む、追い抜くタイミングを両車線の車が重なっているときにする、アクセル操作でやや排気音にリズムをつける、ルームミラーやバックミラーに映るドライバーの目線の向きや頭の向きで予測する、フロントのタイヤの舵切り向きを見る等々いくつかの手法もある。
また、稀にだが行かせまいと幅寄せをしてくる車がいる。
渋滞でイライラしているときに間を抜けていく訳だから、心情はわからなくもない。三車線あるのなら間を走る車線を一本変更するなどでも良いし、私はフェイントを使ったりもする。反対側に行くようなそぶりを見せてそちらに幅寄せをさせておいて、すぐ次の瞬間に元通りの車線で抜いていく。オーバーモーションからのノーモーションだ。
まぁ、一番いいのはパーキングエリアにでも入ってちょっとコーヒーでも飲んで一服って選択だけどね。
逆にややハンドルを切って、間を空けてくれる車もいる。私の印象だと走り屋の車が多い気がする。もしかしたらバイクにも乗っているのか、はたまた無理して抜こうとするバイクに愛車を傷つけられたくないのか。
動くタイミングや挙動などに行き届いた配慮を感じるので、車を移動手段としてしか見ていない人たちよりも真摯に付き合っているのだろう。
そういう車には軽く手を挙げたり会釈をしたりしている。同じ道を走っている訳だし、お互いに気持ちよく走らないとね。
でも渋滞すり抜けはいつまで経っても慣れないし、疲れる。ユキも同じ事を思ったんだろう。諏訪湖SAで休憩を取ったが、次の双葉SAにも立ち寄った。
「さすがにここまで走ると少し小腹が空いてきたねー」とメットを脱いで開口一番のユキの言葉。
「いや、おかしいでしょ」と私。
「北海道で知り合ったおじさんも家に帰る頃にはもう食べた分は空っぽだって言ってたよー」とユキ。まだ道程は半分ですが……。
「食べる為に走るのか、走る為に食べるとこ探してるのかわかんないね」と私。
「走る為でしょ」一旦外した眼鏡を掛け直しながらユキが即答する。
双葉を出た後は、談合坂SAで最後の休憩を取って、あとはノンストップで朝出発したコンビニまで戻ってきた。
渋滞には散々ひっかかったけど、往復でトータル12時間近くバイクに乗っていた。ラーメン共々バイク欲もお腹一杯。
こうして日本横断ツーリングは故障や検挙などのトラブルもなく無事に終了した。
……あ、下道に降りた後、ユキが信号待ちで私を巻き込んで立ち転けしたな、そういえば。それ以外は問題なかった。
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