G.B.0

――「ゴテゴテしたのは嫌だなー」とオカタンが言う。

 こいつはいつもセンスにうるさい。


「俺は別になんでもいいよ。お前らがやるっつーから付き合うだけよ。看板とか流行はやってっけど、チャラチャラしてて好きじゃねーし。お前らと同じ看板ってのじゃなかったら、背中にバツ印つけて走りてーぐらいよ」と福原。

 こいつはいつも無駄に硬派ムード。


「俺はお前らと同じ看板で走るのを想像するだけでワクワクするぜ。ノってくれてありがとうな」これが俺の正直な気持ちだ。


「そんなクサい台詞をよく恥ずかしげもなく言えるな」と福原。

「ザッキーらしいよ」とオカタン。


「んで、コレなんて意味よ?」絵心のあるダチに頼んで起こしてもらったラフを見た福原が聞く。

「読んだまま直訳よ。風は風でも上品なやさしい風よ。これには世のバイク乗りの中の紳士的な99%になろうって深い意味がだな……」

「イヤイヤイヤまず文字からして読めねーし。どうせ読めねーならイタリア語にしようぜ!」

「話せるのかよって話。このイタリアかぶれが! 国産SS乗ってるクセに」

「バカおめー、いつかはドカティよ」

「だったら俺はいつかはBMWだな。アガリってやつで旅してーな」

「それなら俺はいつかは750ナナハンSSだな」

「お、イイね」

「いや、ザッキーが言ってるのはカワサキのマッハだろ」

「な、ん、だ、よ、ドカじゃねーのかよっ」――

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