第32話

 各属性の初期魔法は一通り使ったのでに順目に入る。

 二度目の『ウイングカッター』を使い、風のカッターが速い速度で飛んでいき、命中する。攻撃はクリティカルヒットしHPを三割削った。

 残るHPは二割次は『ファイヤーボール』を使う。

 空中に放たれた火の球はメイジスケルトンに命中……したかに思えたが、火の球は煙となって爆散した。

 その原因はすぐに理解出来た。俺の放った『ファイヤーボール』がメイジスケルトンに当たる直前、メイジスケルトンの放った『ウォーターミサイル』と衝突したのだ。どちらの魔法も初期で威力も五分五分のためどちらかの方が残ることなく相殺され煙になった。

 付近一面に煙が広がり、当たればラッキーという感覚で『ウイングカッター』を放ち、煙を払う。

 風のカッターは煙を両端へと払いながらとことん奥まで進む。壁の破壊不能オブジェクトの警告が出る所まで行ってようやく消えた。

 ラッキーなことにメイジスケルトンに『ウイングカッター』が当たったらしく、脇腹に赤く切れ跡が残っていた。

 これでメイジスケルトンの残りHPは一割になった。後一発で終わるはず。

 その最後の一撃は『アイスボール』を当てる。

 氷の球を受けたメイジスケルトンはようやくHPが0になり、本日二度目の戦闘が終了した。

 二度の戦闘に少し疲れ、短めの休憩を挟み、一時間強狩ってLvも少しだけ上がった。



name:NEST

Lv75(1207/11380)

HP:4514/4514

MP:174/174

装備

武器:シュバルツステル

防具:頭 ミスリルメット

  体上 ミスリルプレート

  体下 ミスリルボトムス

   腕 ミスリルグローブ

   足 ミスリルグリーブ

STR:55

VIT:47

INT:57

MND:43

AGI:43

スキル

『魔法』SLv73『魔法才能』SLv31『両手剣』SLv71『両手剣才能』SLv9『ジャンプ』SLv49『ステップ』SLv68『回避』SLv61『水魔法』SLv70『風魔法』SLv2『火魔法』SLv1『氷魔法』SLv2『光魔法』SLv2『機敏』SLv27『光防』SLv28『隠蔽』SLv1





 昼になり、街に戻ってきた俺は、戻ってくる途中にマナと連絡をとって、サイクロンが食事を摂っていると言っていたレストランに入った。

 入ってからサイクロンの座っている席を見つけるのにそう時間がかかることはなかった。入った瞬間にマナから話がいってたらしく、俺の姿を見つけると手を振って場所を知らせてくれた。

 サイクロンのいる席に向かうとその席は六人席だったらしいが、どうやらイスを一つ追加してくれていたらしい。

 簡単な挨拶をして椅子に腰かける。


「久し振りみんな」

「うん、前に会ったのってデスゲーム前だから」

「そうですね。まぁ挨拶はこれぐらいにしておいて本題に入りましょうか。と言いたいところなんですけど、その前に一つ伝えておきたいことがありまして……」


 エリが返事したところでエリネスが話を切って新たに言った。


「はい、何ですか?」

悪魔の焼印ゼクスブレイズが動き出したのはマナから聞きました。奴らとは関わらないでください。。奴等は災いの元です。デスゲームで奴等と関わるのは危険すぎます。まだ目立った話は聞いてないですけど、その気になればPKもしかねません。もしも出会ってしまったら奴等の気に触れることはしないでください。実力では絶対に敵いません」


 確かにマナの話を聞いた所ではそう思う。


「そうですね。意識します」

「……それだけだ。本題に入ってくれ」


 最初に何か考えるような間を作ってからエリネスが話を変えた。何か訊かれたくないことでもあるのだろうか。

 よく判らないが訊かない方がいいと思いそのままスルーしておく。

 本題に入るのに、アイテムボックスから小石を取り出して話を切り出す。


「えーっと、この石についてなんですけど……サイクロンなら何か使い方とか知ってるかなと思って」


 みんなが首を傾げたり考えてる間にソアラが問いかけてきた。


「説明には何て書いてあるの?」

「そっか、まだ言ってなかったな。説明には『透明な石。使い方はわかりません』ってなってるだけなんだけど」


 俺の言葉を聞いてみんな驚いている。無理もないだろう。俺だって最初は少しばかり驚いたから。


「そんなことって……」


 みんな考えてくれているようだけど思い当たることはないようだ。でもまだ考えてくれているから俺は料理を頼む。

 料理が来ると、食事の途中だった六人全員が手を止めていたのに対し、俺はお構いなしに料理を食べる。

 気まずいのはさすがに俺でも解る。でもみんながそ

れだといつまでたっても食事ができないじゃないか。

 俺が食べ始めるとみんなも考えるのを止めた。どうやら何も思い至らなかったらしい。

 だがそれからまもなくして、まだ考えていて何か思い出したらしくいきなり大声を上げた。


「あっ!」


 周りの全員が驚いてマナの方を向く。


「お兄ちゃん! もう一回あの石見せて!」

「あ、ああ」


 いきなりで言葉に詰まりながらも言われた通りに手に持っていた石をマナに渡す。受け取ったマナは隅々まで見て、指で大きさを確認した。


「やっぱりそうだ」

「何が?」


 全く解らない俺が首を傾げる。


「この石、正確にはこれと同じ大きさと形の石をスフィっちが持ってたよ。でもスフィっちが持ってたのはこんな透明じゃなくて澄んだ黄色だったけど」

「スフィっちって……スフィーちゃん?」


 訊いたのはソアラだ。どうやらスフィーはマナだけでなく、サイクロンの全員と面識があるようだ。


「うん、手にいれたのはβの時だったのに何故か正式サービスになってからもアイテムボックスに入ったままだったって言ってた。」

「本当なのかそれは?」

「うん、最近見せてもらったばっかりだから」


 βテストで手にいれたアイテムがそのまま正式サービスで引き継がれるなんてそんなことがあり得るのだろうか。普段はあり得ない。

 いくつもの考えを頭の中で巡らせたが最終的にはそんなものプレイヤーである俺たちには判らないということに至った。運営から独立している今、問い合わせは出来ない。

 話題からそれかけた思考を強引に戻し、食事を進める。


「解った。それならスフィーに訊いてみるよ」


 謎の透明な石の話が終わったあと、いつも通りのサイクロンの雰囲気に戻って雑談した。相変わらずの調子で展開していく話に花を咲かせた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る