第4話
再び意識が覚醒したのはベッドの上だった。FOをしている時は薄着だったので慌てて服を着て階段を駆け下りた。そして真っ直ぐの扉を開けてイスに座り時計を見たら六時二九分だった。
おぉ~アッブね~ギリギリだ。母と妹に睨まれた気がしたが気づかなかったことにしよう。
今、父は仕事でアメリカに行っていて十二月位まで帰ってこない。
今日の夕食は俺の好きなハンバーグを始め、味噌汁とサラダといったよく見る食卓の光景だ。だけど俺はこの光景が好きなんだよ。ハンバーグが大好きだしな。うん、美味そう。
「ふぅ~食った、食った~」
俺は食後に良く聞く言葉を口にした。
すると俺の横にいた愛美はが「はぁ~」と溜め息をついた。
「もう! 親父臭い! それに夕食ギリギリまで来なかったし……で、FOはどうだった?」
いや、親父臭いことはないだろ。
などと考えながらも愛美に聞かれた質問に答える。
「う~ん、そうだな。狩りをしたけどやっぱり面白いなFOは。モンスターと戦う時のドキドキワクワク感が最高だな」
「そう言ってくれると誘った私も嬉しいよ。スキルはどうしたの?」
「ん? 俺はな……」
『魔法』SLv1『魔法技術』SLv1『両手剣』SLv1『両手剣技術』SLv1『ジャンプ』SLv1『ステップ』SLv2『回避』SLv2『水魔法』SLv1『身軽』SLv1
「へぇ~お兄ちゃんって攻撃系のスキルと回避系のスキルのバランスがいいね。あっ、両手剣も入ってる! 私の意見取り入れてくれたんだ。もしかしてヒットアンドアウェイ戦法?」
おっ、流石我が妹だ。いい勘をしてる。だがおしい。でもまぁヒットアンドアウェイも考えたけどだな……敵の攻撃を避けつつ隙を見つけて攻撃。これだけだ。特に立ち回りが思いつかなかったし作戦も思いつかなかったがゆえの戦法とも呼べない戦い方だ。
「うーん、剣と魔法を両立してみようかなーって思ってる。せっかくのゲームだしその方が楽しそうだから」
「そっかー、うん、いいと思うよ?」
「それで愛美はどうなんだ?」
「んと、私はねぇ……」
『片手剣』SLv3『片手剣技術』SLv3『防御』SLv2『受け流し』SLv2『ステップ』SLv2『回避』SLv2『身軽』SLv2『根性』SLv2『光防』SLv2
今日半日でもうこんなにSLvが上がってるのか。早いな。
お、俺がさっき気になってた『光防』がある。それに『根性』?そんなの無かったぞ?
「気になってたんだけど『光防』ってなんだ?あと『根性』も。『根性』なんかスキルショップに無かったけど?」
「え~っと、『光防』は光のバリアみたいな物で魔法攻撃にによるダメージを軽減させてくれるスキルで、スキルショップに売ってる中では一番いいスキルだよ。『根性』は自分のHPがレッドゾーンになった時にSTRとINTが1.5倍に上げるスキル。これはスキルショップには売ってないから戦闘で手に入れるしか無いんだ」
へぇ、そんな便利なスキルもあるんだ。明日、いや今から買いに行くか。
「じゃあ、今からやってくるわ」
「うん」
そう言って別れ、また二階の自室に入り、VR機を頭に被り、電源を入れた。
「ゲームログイン!」
そう言ってゲームを再開した。
ゲームをする時に初めてのゲームをする場合「ゲームスタート」と言い、続きからする場合は「ゲームログイン」と言うとゲームが出来る。
ログアウトはメニューウィンドウを開き、そこのログアウトボタンを押せばいい。でも気をつけなければいねかいのは、街の外でログアウトをしても1時間はその場にアバターが残る。これは戦闘中に危なくなってログアウトして逃げるのを防ぐためだ。このシステムは全てのVRMMOにある。
ゲームの中で覚醒した場所ははじまりの街の中央広場だった。
どうやらFOは、その街でログアウトした人やその周りでログアウトした人がログインした時に始まる場所はこの中央広場らしい。その他にも、モンスターにやられて死に戻りするのもこの中央広場らしい。でも、これには例外があるらしい。それは生産職の人。それも自分の店を持っている人に限る。どうやら店の奥には約八畳位の部屋があり、その部屋でログアウトした場合のみそこから再開できる。因みに部屋では、アイテムを生産、調合などが出来る。
少し話が逸れたが、中央広場というのはどこの街にもありどこかの街の中央広場に行くことが出来れば、その街でログアウトしてもその街の中央広場からゲームを始まることが出来る。しかし、逆に街には行けても中央広場に行かなかったらその街の中央広場からゲームを再開する事は出来ない。そのようなミスをしないように基本は中央広場に真っ先に向かうものだ。……ということを愛美から教わった。
俺以外のアバターが青い光に包まれて出てきている。中には装備をして落ち込んだような様子の人もいる。Mobにやられたのだろう。
よし、そろそろ俺も行くか。
俺ははじまりの草原に向かって走り出した――――ところであることに気付く。
「あっ、危ねぇ。魔法を買うのを忘れてた」
走り出していた足を止め、スキルショップへ慌てて行った。そこで水魔法『ウォーターミサイル』を買った。残りのお金は四三五フィルだ。
そうだ! アレを買っとこう。
用事を終わらせた俺は今度こそはじまりの草原へ向かった。
☆ ★ ☆
はじまりの草原に着くと早速Mobがいた。
見た目は純粋な鳥だが、脚が細長くダチョウやフラメンコのようなイメージに近いが、それよりは小さく腰ほどの背丈の小鳥だ。
「あいつは初めて見るな。え~っと、ランニングバードか。名前が見えるって事はLvは近いな」
このゲームでは、自分とのLv差が2以内だったら、Mobを見てカーソルを合わせると視界の左上にMobの名前とHPが表示される。もし、人(NPCも)にカーソルを合わせるとHPバー、そしてフレンド、ギルドメンバー、パーティーメンバーだと名前が出る。このカーソルが出るのは街の外だけだ。街の中まででたら会話したりするのに邪魔だからな。
まぁ話はこれ位にしておいてランニングバードとやらを狩りますか。
俺はマヌケにも躓いてこけているランニングバードに狙いを定め、手に入れたばかりの魔法を発声した。
「『ウォーターミサイル』!」
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