第25話 お兄ちゃんのあのね
「車にはぜったいに、ぜえったいに気を付けるんだ!
これは兄ちゃんの命令だ!!」
お兄ちゃんはいつも、楽しく遊んでる時にふっとこんなことを言う。
明日は学童でチョコエッグがおやつで出るんだ。
楽しみだなあ。
そんなこと考えながらうちで遊んでたら、
またお兄ちゃんが言う。
「いいか。
道を渡るときは絶対に、
向こうから車が来ないか何回も確かめるんだよ。」
わかってるよ。
学校の安全教室で教わったよ。そんなこと。
ピーポくんも言ってたよ。
ママもいっつもしつこく言うしね。
わかってるよ。
何回もおんなじこと言われるとやんなっちゃうよ。
楽しく遊んでる時に限って思い出したようにお兄ちゃんはぼくに言うんだ。
もう耳にたこができちゃう。
ぼくは車にはひかれない。
ひかれないと思うよ。
クラスの友だちも、だれもひかれてないよ。
ぼくよりももっと歩くとき前を見てない子もいるんだよ。
だからぼくは車にはひかれない。
よくわかんないけどそう思う。
お兄ちゃんは
「なんでそんなことわかるんだ?」
って怒ってたけど、ひかれるよりはひかれない気がするってだけ。
それに車にひかれたらどうなるっていうの?
死んじゃう?
ママはいつも半泣きで
「カイが死んだらママも死ぬ!」
って言ってるけどね。
とにかくぼくは車にはひかれないから大丈夫。
そんな気がするだけだけど、それじゃダメ?
だからママ、泣かないで・・・。
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