第15話 ママのあのね、京子先生あのね?
ぼくのことをすっごく怒るママも、シュンってしちゃう時がある。
それは、最近もあった。学校で。京子先生とのこじんめんだんの時だ。
いつものように学校から一人で学童に行こうとしてたら、ママが下駄箱で靴をスリッパに履き替えてるのが見えた。
ママは気づいてなかったけど、そういえば
「今日はカイの『こじんめんだん』だよ」
って言ってたから、京子先生とお話しするんだってわかった。
見られないようにそーっとついてってお教室をのぞいてたんだけど、
何を話してるのかな?ぼくのこと?
なんだか首の後ろがこそばゆいような変な感じがした。
京子先生とぼそぼそお話してるママのお顔は、さえない。
笑ってるときはとってもいい感じなんだけどなあ。
けらけらってママが笑うとぼくもパパもつられて笑っちゃうんだよ。
なんだかつまんなくて、そーっと廊下を通って学童に向かった。
学童でドラえもんのマンガを見てたら、今日のことはすっかり忘れてた。
だけど、夕ご飯の時にママが変なことを言い出した。
「カイはお友だちがまだいないよねえ。でも、カイはカイだよねえ。」
「カイは算数とプールも苦手だよねえ。でも、頑張ってるよねえ。」
「ママは、カイの味方だからね!カイを全力で応援するからね!!」
ママは、なんだか自分に言い聞かせるようにぼくの目を見ながら話すと、
ぼくのことをぎゅうってした。
痛い痛い!どうしたの?ママ?
「でも、時々ママね、
カイに突き飛ばされたりすると、カッとなっちゃう時があるんだよね。
ママのお腹にも鬼がいるのかな?」
お腹に鬼がいるのはぼくだよ。ママじゃないよ。
ぼく、ママのことだいすきなんだ。
でも、なんてせつめいしたらいいのかな?
わかんないからやっぱりだまっちゃった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます