第3話 あのねあのね・・・

本当は、もっと大事なことを聞かなきゃいけなかった。


おしっこに行きたかったのに京子先生に呼び止められちゃったんだ。

「先生、我慢もそろそろ限界だよ!」


そう思ってたら、ちょびちょびおしっこがずぼんからはみ出してきた。どうしよう‥なにも言えなくて、目からもちょびちょび水が出てきた‥。


あれ?


最初に気がついたのはかすみちゃん。

「京子先生、ちょっと‥」

って先生の袖を引っ張って僕のとなりに連れてきた。


何が起きたか気づいた京子先生は、

「カイくん、大丈夫?具合悪そうだね、保健室行こうか?」

ってきいてきた。そして、

「カイくんは、具合わるくなったので保健室行きます!」

っていいながら僕を教室から連れ出した。


あのね。あのね。違うんだ。これは。

何回も先生に聞こうとしたんだよ。

「トイレに行ってもいいですか?」って。


でも、口からは何も言葉が出てこなかった。


言おうとした時も声がちっちゃくて先生聞いてなかったよ。

目からはどんどん余計な水が出てきた。


ぼくは時計が読めないから、あとどのくらい休み時間が残ってるかわかんない。


そうしてるうちに次の授業のチャイムが鳴ちゃった‥。


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