学校一の美少女といると目立つ
「だああ……疲れた」
学校に着いた途端に、俺はクラス男子から質問攻めにあった。
碓氷さんと一緒に帰ったって本当か? や、二人は付き合っているのか? などの質問ばっかされてもう帰りたい。
質問されるのはわかりきっていたことだが、実際にここまでされる面倒くさくなってしまう。
教室まで手を繋いで来たのだから察してほしい。
雪音に罰ゲームと言って告白させた奴がいるか辺りを見回してみたが、今のところそれらしい人は見つからなかった。
他のクラスの人の可能性だってあるし、俺にそう簡単にバレるようなことはしいないだろう。
陰でニヤニヤしているんじゃないかと思うとイラついてくるが、見つけられないのはどうしようもない。
そもそもあまり探す気もないのだけど。
「大地よ、俺と共に二次元に命を捧げたのではなかったのか?」
オタク友達である
結構イケメンではあるが、二次元に全てを捧げた残念男子である。
血走った目が気持ち悪い。
「二次元に命はかけてない」
確かに好きでラノベを読んだりアニメを観たりするが、宏太のように命をかけるの? と質問されれば違うと答える。
ほとんどのオタクが俺と同じ意見だろう。
アニメは好きだが、現実の方が大事だ。
「大地の裏切り物ー」
叫びながら教室から出て行った。
羨ましそうにしていたのだし、宏太は二次元に全てを捧げていないんじゃないかというツッコミを今度入れてやろう。
「大くん」
次は彼女である雪音が話しかけてきた。
俺と同様クラスメイトから質問攻めにあっていたため、少し疲れたような顔をしている。
学校で雪音の方から異性話しかけるのは珍しいからか、クラスメイトの男子から嫉妬の視線を向けられるが気にしない。
どうせしばらくしたら落ち着くのだし、気にするだけ損だ。
少し話していたら予鈴が鳴ったため、雪音は自分の席に戻って行った。
☆ ☆ ☆
「休み時間の度に話す必要はあるんだろうか?」
昼休み、直ぐ様雪音は俺の元に来た。
付き合い始めたとはいえ、休み時間になったらすぐに来て話しかけて来るなんて思わない。
仲良くするように言われているのだろうか?
別に話しかけてくるのはいいのだが、学校でくらいは友達と話せばいいのに。
俺とは家でいくらでも話せるのだから。
「いいじゃないですか。私たちは、付き合っているのですし」
俺たちの話を聞いているであろう男子からの視線が突き刺さる。
照れながら言っており、男子たちは俺のことを羨ましいと思っているのだろう。
リア充爆発しろオーラが凄い。
「お弁当にカレーか……」
嫌いってわけではないが、教室内に匂い充満しそうだ。
たまにカレーの匂いがするなって思った時があったのは、雪音がお弁当にカレーを入れてきたからだろう。
「カレーをバカにするのですか? こうなったらカレーの魅力を徹底的に教え込むしかありませんね」
カレーバカは目の前にいるけどな、という言葉は心の中に閉まっておくとして、俺のことを睨みつけるのは止めてほしい。
雪音にとってカレーは至高だとわかったから。
「明日からもカレーが続くとかないよな?」
「それは大くんの態度次第ですね」
下手をしたらしばらくカレーが続いてしまうらしい。
老若男女問わずカレー好きは多いと思うが、毎日は絶対に飽きる。
ご飯を作ってくれるのは非常に有り難いと思うが、流石に毎日カレーは無理だ。
具材や甘口、辛口などを変えても絶対に飽きる時がくるのだから。
「大くんもカレーを好きになりましょう」
雪音がお弁当箱の蓋を開けると、辺り一帯にカレーの匂いが充満する。
とても美味しそうで食欲がそそられるが、毎日続くかもしれないと思うと少し気が滅入ってしまう。
美味しいのは朝に食べたからわかっているし、目の前にあるカレーもすんなり胃に入るのは分かりきっている。
「俺をカレー中毒にさせたいのか?」
「カレー中毒は言い過ぎです。カレーに野菜が入っていたら嫌いな子供でも食べれると思うんです。美味しいし栄養も取れる万能な料理がカレーなのです。甘口から辛口まであってどんなに食べても飽きません」
カレーの味付けのおかげで人参などを食べれる人はいると思うが、いくら何でも雪音はカレーを好きすぎだ。
この世で一番愛してる言っても過言ではないんじゃないだろうか?
カレーについて熱弁してるせいか、クラスメイトの何人かは明らかに引いている。
中には「碓氷さんの料理が毎日食べられるのであればカレーでもいい」と言っている男子もいるが。
「食べましょう」
近くにある椅子を持ってきて、向かい合って座る。
「はい、あーん」
スプーンでカレーをすくい、俺の口元に持ってきた。
「学校でもするのか?」
「もちろんです。それとも彼女のあーんで食べれないの、ですか?」
上目遣いで言われると弱いので断ることが出来ない。
保温出来るお弁当箱に入っていたからか、まだ温かいカレーを「あーん」ってされながら食べていく。
美味しい……とても美味しいのだが、人前だと恥ずかしい。
しかも男子から殺意のこもった視線を向けられている。
流石にここまで視線を向けられては気にしいないのは難しい。
「いっぱい食べてくださいね、あーん」
雪音は見られることに慣れているようで、周りの視線を気にせずに食べさせようとしてくる。
むしろ恋人同士だから当然ですみたいな顔だ。
昨晩同様にあーんってされて全部食べる羽目になった。
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