学校一の美少女による膝枕
「疲れた……」
家に着いた後、俺はリビングの床にぐったりと横になる。
マンションに着いたら雪音の家の調理器具や調味料を運ぶという作業があったため、一気に体力が消費されたのだ。
玄関まで雪音が持ってきたフライパンや包丁、鍋の調理器具に調味料、皿やコップなど色々運ばされた。
俺の家が三階で雪音の家が五階だ。
エレベーターがなかったら体力を使い果たして動く気力がなくなっていただろう。
「フローリングが冷たくて気持ちいい」
「だらしないですよ」
しっかり者の雪音には、床に寝転がるという行為が許せないようだ。
「俺はインドアだから」
アニメ観賞やラノベを読んだりするのは趣味なので、休日は家から出ない俺に体力があるはずがない。
ご飯食べてる時だってアニメ観ているし、お風呂に入っている時も防水のスマホでアニメ鑑賞か電子書籍を読んでいる。
学校以外は常に二次元と共に生きているのだ。
「だからって床に寝転がるのは感心しませんよ」
「家なんだからダラけてもいいじゃん」
「ダラけるなら一人の時にしてください」
「オカンか」
実家でダラけすぎて親に怒られた時のことを思い出した。
高校生で一人暮らしをさせたのは、家事などをさせてダラけさせないためかもしれない。
料理はともかく、掃除や洗濯は自分でしなければならないのだから。
面倒で自動で掃除してくれるロボットでも買おうと思っているくらいだ。
「オカンじゃなくて私は……大くんの彼女、です」
「顔を赤くしてる雪音は可愛いな」
「か、かわ……」
下校時と同じように耳まで真っ赤にしている。
一日二十五回褒めてほしいと言ったのは雪音なのだし、可愛いと言われただけで照れないでほしい。
「私服は初めて見るけど似合ってるな」
白を基調にした可愛らしいワンピースタイプの部屋着だ。
俺の家の洗面所で何故か着替えていた。
キャリーバッグを持ってきていたので、俺の家に居座る気満々なのだろう。
「だ、大くんは本当に私を褒め殺しさせる気ですか?」
「雪音は俺を刺し殺す気かな?」
持ってきた調理器具を出しているため、今の雪音は手に包丁を持っている。
先ほどみたいにこられては、俺の命が危ない。
「何で殺さないといけないんですか? それともずっと一緒にいるために彼氏を殺しちゃうヤンデレ彼女がお好みなんですか?」
「いや、全く」
尽くしてくれる彼女だったらいいのだが、全て私のものと言って監禁したり殺したりする彼女はノーサンキュー。
「俺はご飯まで寝る」
「寝るなら寝室で、制服を着替えてからにしてください」
面倒なので、俺はそのまま目を閉じる。
「もう……私の私服見るの初めてじゃないくせに……バカ」
何やら聞こえたが、眠くて内容まではわからなかった。
☆ ☆ ☆
「うお、何だ?」
昼寝から起きると、目の前に頬を赤くした雪音の顔がドアップで写っていた。
まるで寝ている彼氏に彼女がキスをするかのようだ。
「え? 膝枕?」
雪音の柔らかい太ももに俺の頭が乗っていた。
しかもワンピースの裾をたくしあげているので生の太ももで、普段使っている枕より気持ちいいかもしれない。
「私は、大くんの彼女ですから……そのまま床に寝させるのは、いけないと思ったんです。ベッドまで運ぶのは無理なので、膝枕にしました」
本当に罰ゲームなの? と思うくらいにデレる気がする。
頬を紅潮させているのは凄く可愛いが、別に料理さえ作ってくれればデレる必要はない。
「悪いな」
「いえ」
ずっと膝枕をさせるわけにはいかないので、俺は起き上がって背中伸ばす。
頭は太ももがクッションになっていたが、背中はフローリングに直接触れていたから少し痛い。
「あの……膝枕してあげたのですし、何かないんですか?」
褒めてほしそうな目をしている。
「細いの柔らかくて白い太ももがエロいな」
「え、エロ……そんな褒め方は望んでません。普通は膝枕のおかげで良く寝れたよ。ありがとうとかでしょう?」
思っていた褒め方と違ったからか、不満そうに雪音は「むう~……」と頬を膨らます。
子供が出来るまで付き合うことになっているので、エロい話も大丈夫だと思ったけど違うのだろうか?
流石に初日からするのはダメなのだろう。
「俺は付き合ったことないから褒め方なんてわからん」
「それくらい調べてください。意外と単純なことでも喜んだりするものですよ」
「おっぱいでかくてエロ……いでててて」
手の甲に激しい痛みが走った。
雪音が白い目を向け、俺の手をつねっていたのだ。
「ご飯いらないんですか?」
「いりますいります。痛いので許して」
「イチャイチャならともかく、初日からエッチな話はしないでください。わかりましたか?」
「わかったから。ごめんなさい」
わかればよろしいと、雪音はつねるのを止めてくれた。
「ご飯は出来てるの?」
「はい。出なければ膝枕なんてしませんよ」
そういえばキッチンからいい匂い漂ってきている。
とても美味しそうな匂いで、これは期待出来そうだ。
「大くんは着替えてきてください。シワになってるっぽいので、制服は私がアイロンをかけておきます」
「そこまでしなくてもいいぞ」
「良くありません。私の彼氏がだらしないと示しがつきません」
何の示しなのだろうか?
反論するのは面倒なので「わかった」と頷き、俺は着替えに向かった。
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