02 現実は現実.
ヘッドギアを外した。
「わたしに会うために、ずいぶんと熱心だこと」
このゲームを圧倒的な強さでクリアして。頂点にいるのは、私だった。伝説の人間も、私。
運営チームも含めて全員倒した。
そして、運営から与えられた名誉職が、ミシン屋さん。
戦いに破れた数々の聖服を、直すお仕事。
数年前に運営が主催した精霊大反乱戦争イベントのときは、熱かった。ヒーラー役として、前線で倒れたプレイヤーの聖服をその場で直して。でも実はわたしが黒幕なの。超たのしい。
今はもう、ゲーム内でも平和な世の中になっている。どうやら前回の戦争イベントがメディアに取り上げられて、下品だの子供に見せられないだの、大変なご批判をいただいたらしい。
「大人向けゲームを昼間のテレビで批判しないでよ」
愚痴は、ひとりきりの部屋に、反響して消えた。
「仕事行こ」
最近、仕事場で友達以上恋人未満になった人がいる。その人には、さすがにこのゲームで最強ですとか、口がさけても言えない。というかこのゲームの話題すら出すのが、はばかられる。
「やっぱ批判されるべきゲームかも」
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