第4話

 俺は朱里。

 この瓦礫と砂の荒廃した世界の「Dドライブ」に住んでいる。

 歳は十八。階級はヴァイス。

 上に鉄骨の空が見えるだろう。

 あれがこの世界で唯一人が住める場所だ。それ以外はこの荒廃した地表があるだけ、人が住む世界じゃない。

 この地表で外にいるってのは凄く危険なんだ。この辺りは建物が密集しているから比較的危険度は少ないけど、長くいる場所じゃない。

 このビルは遥か昔、全ての自然災害から身を護るために建てられたらしくって、それなりに強度があるってクジラが言っていた。話が長くなるからとりあえずビルに入ろう。

 お前が居たあの外階段は非常用であって、あまり使う物じゃない。このビルの中にある階段を使うんだ。

 地表の中でもこの辺りは廃墟も同然で生物を守るようには作られていないから外に面した部分に居るだけでも危険なんだ。

 その様子じゃ、何も知らないんだな。クジラはどうしたんだろう? まぁいい、とりあえず、この世界について教えてやるよ。

 この、今、俺とお前がいる荒れ果てた地表の部分はジャリアスという。そして、ジャリアスはこの上にある「都市トーパ」の最下層にあたり、最低階級アリュートが住む所でもある。

 以前はこの地表に都市が築かれていたらしいんだけど、数千年前から幾度として続いた大地の異変によって、地表は割れ、陥没し、災害に次ぐ災害で、結局地表は人の住む世界ではなくなったらしい。

 何千年も前の話だからな、俺が見たりしたわけじゃなく、聞いた話さ。

 ともかく、地表を追われた人は、地面が駄目ならと上空へ住む場所を移したんだ。

 それが鉄骨の都市、トーパだ。

 さっき上空に見えた鉄骨の空は人が住む地表のような存在で、トーパ構造は大樹のように一本の柱があり、柱を中心として四層のプレートと呼ばれる円盤がついている。円盤は下層が大きく上層に行くほどに小さく作られていて、遠くから見れば本当にジャリアスから大きな一本の木が生えているように見えるんだ。

 中心にある空へと伸びるトーパを支えている要の大きな柱は「マトラ」。

 マトラは全てのプレートを結ぶ唯一の場所であり、通行手段でもある。

 マトラに支えられるプレートは階級分けされた人々が暮らしていて、プレートにも階級がついている。あぁ、もちろん、この地表も含めてね。

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