対決
82 果たし状か?
食堂でミシェルはコーヒーをかき混ぜながら重いため息をつく。食事中も
「どうしたんだ?ミシェル」
ミシェルは黙って昨日張り付けられていた手紙を渡す。亘は
「本日、
なにこれ?」
「呼び出しでしょ?昨日の夜に誰かが部屋の窓に貼って行ったよ」
「昨日、俺を
「みたいね。こういうのって何で言うんだっけ?挑戦状?」
「果たし状か?」
「そうそう、それ。何にしても無視する訳にはいかないよね。私達の居場所がばれてるなら、行動も筒抜けだろうし。このまま何事もなく帰してはもらえないだろうし」
二人の間に重い沈黙が訪れる。
自分の
「ごめん。俺のせいだよね」
「そーだよね。今回問題を呼び寄せたのは亘だよね。私はただ観光を楽しんでただけなのに」
ミシェルの嫌みに反論もできず落ち込む亘。
「……どーすればいいんだ?一体」
「まぁ、ここは要望に応じようか。でもラッキーだったね。指定された場所が嵐山だよ。ちょうど、
ミシェルの軽いノリに亘は不安になるが、ミシェルは敢えて明るく振る舞っていた。ただの話し合いで済むはずがないことは黙っていたほうが良いと考えたからだ。
京都駅からJR
広い境内に入り、まずは
お堂を出て庭園の方の拝観料を払って
「亘、こっち向いて」
顔を向けた瞬間、カシャッというカメラの音がする。今度はミシェルに不意打ちで写真を撮られた。
「なにしてんだよ!」
「昨日の仕返し」
子供のように笑うミシェルに呆れて立ち上がろうとしたら、手を引かれた。
「ああ、待って。向こうで
「もう、お昼にするのか?」
現在11時過ぎであった。朝7時に朝食を食べてからまだ3時間しか経っていない。
「まぁね、早めにご飯食べて13時頃には法輪寺に行かないとね」
「え、あの手紙に時間なんて書いてあった?」
「未ノ刻って13時から15時のことなの。その時間帯に来いってことだけど、面倒くさい用事は早めに済ましておこう」
呑気に観光しているが、考えることはちゃんと考えているらしい。方丈を出て精耕館へ向かい、「
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