07 そいつらに仕返ししたくない?
数日後、亘は学校で彼らに信じられないことを言われた。無論拒んだが、やれと強く命令され拒否できなくなってしまう。彼らは思い付きで自分に指示を出す。それに対し強く反発できないことに
その日は
今、店には自分ひとりしかいない。
やるなら今しかなかった。
亘はレジを開けて一万円札に手を伸ばす。そのまま抜き取ろうと思ったが、どうしても
「何してるの?」
驚いて振り返るとそこにミシェルが立っていた。
「おっ、お金が落ちてたから、戻してただけだよ」
「ふーん…」
特に
「もしかしてお金盗もうとしてた?」
亘は振り返り怯えた目を向ける。犯罪を犯そうとした場面を見られていたのだ。彼女はいつも通り澄ました表情のままだった。
「別にいいよ。欲しかったら盗んでも」
亘の
「私にとってお金はあってもなくてもいいものだから、構わないよ」
盗みをしても良いと
「でも、変だね?給料を前借りしたいのなら言ってくれればいいし、それに亘はお金が必要な訳じゃなかったよね」
服を握りしめ黙ってしまう亘。先に謝ったほうがいいかと思った瞬間、ミシェルは
「それとも、誰かに盗んでこいって言われたの?」
心臓を
「やっぱりね。ねぇ、店の外に貼ってあったあの紙って亘が貼ったものだよね?あれも誰かに言われてやったこと?」
「…………」
「黙ってちゃわからないよ」
「い、いたずらしてこいって、言われたんだ。店に行って、働きたいって嘘ついて来いって…」
やっと亘は口を開く。つき続けた
「なるほど、急に働きたいって嘘をついて、私に
「ご、ごめんない。ずっと言えなくて。でもお金は盗んでません。本当です。だから、通報だけはしないで…ください」
とうとう涙が
自分の人生が閉ざされてしまう気がして恐怖が涙となって流れ出す。みっともなく泣き出す亘に対し、ミシェルは彼の
「ねぇ、亘。そいつらに仕返ししたくない?」
「………え?」
青い瞳が
「私が手伝ってあげる」
ミシェルはそう言うとスマホで誰かと連絡をとり始めた。そして亘にしばらく店で待つように指示する。
その間学校の課題に取り組んでいると、ドアを開けて一人の男性が入ってくる。黒いレザーの上着を着た短髪の男性で持っていた荷物を机に置くと、ミシェルが止めるのも聞かずに出ていってしまう。
取り敢えず目的の物は手に入ったのでそれを亘に渡す。亘は明日ミシェルの指示した通りに行動することにし、彼女に車で送ってもらった。
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