02 見た目に惑わされるなよ
直線道を左折し目的地へ到着した。駐車場で空きスペースを見つけて駐車し車を下りる。ここは
受付に面会を申し出て
「
蜂須賀はパソコンから目を離し見た目が華やかな白人女性を見上げ軽く返事をする。青い瞳の彼女は案内をしてくれた男性に対しにこやかにお礼を言う。海外映画に出てきそうなほどの美女に
「相変わらずだな、お前」
「そーお?
40代ぐらいの
ずらりと並んだ長机の一番後ろの席に彼女を座らせ蜂須賀もパイプ椅子に座る。しばし世間話をしていると部屋に茶封筒を持った刑事が入ってくる。蜂須賀はそれを受け取り中身を机に並べる。
「さて、あんたを呼び出した理由だが、三日前に西区で
死亡したのはその部屋に住む女性、
第一発見者はアパートの管理会社の者、死亡推定日時は9月20日前後だ」
「ふーん」
女はウェーブのかかったブロンドの髪を触りながら
「彼女の体からは大量の血が流れていた。量にするとおよそ2リットルだ」
人間の
「じゃあ、
「違う。
「あっはは!ずいぶん可笑しな殺人鬼がいたもんね。人の血液を集める趣味でもあったのかな?」
「とぼけんのもそこまでにしろ!これはお前らのやり口じゃないのか?」
"やり口"という言い方に若手の刑事は
「決め付けはやめてよ。血を抜く方法なんていくらでもあるし、営利目的かもよ?」
「じゃあ、これはどう説明する?」
蜂須賀は一つの写真を彼女の前に突き出す。現場検証の時に撮った死体の写真で女性の首元が写し出されていた。彼女の左側の首筋には人の歯形がくっきり残っていた。
「首筋に噛み傷ね、らしいっちゃらしいね」
「どうなんだ?」
「仮に"
「で、あんた達の中に心当たりのある奴はいないのか?」
「一先ず私が囲ってる中にはいないよ。人との
「本当か?」
「疑うなら
そう言い彼女は写真を机に戻して立ち上がる。蜂須賀は不満そうに睨み付けるが、強く引き留めるつもりはなかった。
「もういいかな?そろそろ店開けたいし、おいとまするね」
「この件はあんたらの力を借りることになると思うんだが」
「情報は共有しとくよ。けど、犯人を探すのはあなた達の仕事でしょ?じゃあね」
ひらひらと手を振り彼女は会議室を出ていく。彼女がいなくなると新入りの刑事が首をかしげながら訊ねる。
「何なんすか、あの人は?めっちゃ綺麗なひとでしたけど」
「見た目に惑わされるなよ。中身は悪魔だからな」
「事件の事を話すってことは何かの専門家なんですか?」
「まあ、そんなところだ。この件は"人間"側だけじゃ解決しないだろうからな」
「どういうことです?」
「そろそろお前にも話してやってもいいかもな。この世には"人じゃないもの"が存在するのさ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます