02.

 起きたとき、彼女はまだゲームをしていた。静かに。


 彼女の気を散らさないようにそうっと起き、冷蔵庫へ。


 牛乳。空っぽになっている。後で買わないと。


 数年前も、そうだった。


 誰か、お役所の人が家に来て、彼女に何か細かな説明をして、帰っていった。その直後に彼女は牛乳を一気飲みして。わたしは世界を救うね、とだけ言って。普段やっていたゲームをまた始めた。


「終わったっ」


 彼女。


 ヘッドホンを外し、ゆっくりと倒れ込む。いつもの動作。あぶなくないように、彼女が倒れ込む場所にはクッションを配置してあった。


「世界、救えた?」


「五分五分。まだ、半分ぐらいかな」


「そうですか」


「おなかすいた」


「何か作るね?」


「おねがいします」


 彼女。だいたい、寝ながら食べる。


 その顔を思い出してほほえみながら、朝食を作った。


「できたよ」


 彼女。


 もうすでに、半分ぐらい寝てる。


「はい。あぁんは?」


「あぁん」


 口を開ける。そこに、朝食を、そおっと置いておく。


 彼女。


 寝ながら食べてる。


 かわいい。

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