友達以上恋人未満。

僕はいつも君との関係を踏み出せずにいる。

それは何故か、と問われれば、

怖いからという一言に尽きる。


友達以上恋人未満という関係。

僕たちはそういう関係を十年近く続けている。つまり、腐れ縁だ。

その間、僕たちはそれぞれ色んな恋愛をしてきた。だが、その間にそれぞれが相入れることはない。


「彼氏が出来たんだ」

「へぇー、そうなんだ。よかったじゃん」

と言い合うだけ。


そして、その恋愛が終われば、

「振られた」

「え?なんで?うまく行ってたんじゃないの?」

と理由を少しだけ聞き、慰めるだけ。


それだけの関係だが、

なにかの始まりも終わりも必ず近くにいるのは、なぜか必然なのだ。


そして、今日も僕は

一つの恋を終わらせた君のそばにいる。

君は俯き加減で、

甘いカクテルを飲んでいる。


「飲めないんだから、あんまり無理するなよ」

と言っても、

「今日はとにかく飲みたいの。付き合ってよね」

とムキになって、飲み続ける君。


「わかったよ」

と小さい声で呟きながら、

僕は君を心配する。


もういい加減、

友達以上恋人未満の関係は終わりにしよう。

そう言ったら、君はどうする?


心の中では、

何回もその言葉を僕は呟いている。


だが、僕はなにも言えないまま、

そのままの関係を続けるために、

君をいつまでも横目で見ている。

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