君からの手紙。
仕事帰り。
家のポストには君からの手紙が届いていた。
封筒の中身は、結婚式の招待状だった。
君と最後に会ったのは、いつのことだろう。
確か、三年くらい前の同窓会だっただろうか。
あの時、久々に見た君は高校の時より少しだけ大人になり、同級生たちとビールを酌み交わしていた。
そりゃあ、そうだよな、
あれからもう10年も経過しているのだから。
でも、あの透明感のある笑顔だけは
あのときから何も変わっていなかった。
同窓会の終盤に君は
「須藤くんだよね?元気にしてた?」
と僕にようやく気がつき、話しかけてきた。
「あぁ、元気だよ」
とありきたりな返事をすると、
「久しぶりだね」
と君が言葉を返す。
そうだ、思い出した。
君と僕はいつもこうだった。
話したいのに、お互いにうまく話せずに会話が途切れ途切れになるのだ。
そして、近くにいた同級生にまた呼び戻されて、君は僕の元から風のように立ち去った。
あれからもう三年。
僕は今日、君の結婚を知った。
僕が君に話しかけていたら、、、
僕があの時、何か話しかけていたら、、、
何か変わっていたのかな。
そんな気持ちにすらさせた。
嬉しいような、悲しいような、複雑な気持ちを抱えながら、
僕は玄関のドアをそっと閉める。
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