隠し事。
君はなにも知らずに、
今日も僕の隣で寝息を立てて眠っている。
愛らしい顔で。
だけど、僕にはその顔が愛らしいければ、愛らしいほど、憎いのだ。
あの日はちょうど梅雨の真っ只中で、
大粒の雨が降っていた。
僕は仕事の帰り道、
少し先を歩く見覚えのある赤い傘を
見つけた。
「あゆみ?」
僕が君を見つけ、話しかけに行こうとすると、僕の視界には、見知らぬ男が映り込んだ。
僕はひたすら立ち尽くし、
今までの思い出が走馬灯のように流れ始めた。
それから、僕の隠し事が始まった。
僕は二人の後をつけた。
事実を知れば、傷つくと気がついていたけれど、僕はそっと二人の後をつけずにはいられなかった。
僕は君にだけは今までどんなことがあっても、嘘や隠し事だけはしないように
なるべく正直にしようとしてきた。
だけど、もうそれも終わり。
今日も
君はあの男の所に行くのだろうか。
君も僕にずっと隠し事をしていたんだよね。
でも、それはお互いにいつかはバレる。
仕方ないことだったのかな。
ねぇ、僕たちはいつまで隠し事を続ける?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます