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「……何ですか? あれ? 」
「何、また質問? じゃあ、俺もこう返します。……何だと思う? 」
昼間のようなフワフワとした笑みを浮かべながら所長はふざけたように問う。
「……わかりません」
「正解はねぇ、ショータローの飼い主です! 」
分からなかった。目の前の人のテンションも言っている意味も。
「……どういうことですか? 」
「えぇ~さすがに分かるだろ? あ、君、ショータローの飼い主って、俺の飼い主って意味じゃねえよ? 犬のショータローだよ? マジで、変なこと考えんじゃねえぞ」
所長は、柴崎 正太郎といった。
「……所長。戸田さん。殺したんですか? 」
恐怖で声が震える。
「あー、戸田つったなああのババア。アイツまだ死んでねえよ。しかも、殺すのは僕じゃありませ~ん」
「何でですか? 」
そう問うと、今まで細められていた目がパッと開いた。
その瞬間、僕は身動きがとれなくなった。僕を見ているようで全く見ていない、光が入らない奥の奥を見ているような真っ黒な瞳。しかし、それとは対照的に、口元にはあの人懐っこい笑み。
この人は大人しく日向ぼっこをしている柴犬なんかじゃなく、愛嬌という最大の兵器をもった闇に棲む笑顔の悪魔だ。
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