4
僕が異変に気付いたのは、偶然会った岡部さんに温まらないかと誘われ一杯飲んだ後、商店街の外れのスーパーから出たときだ。
「最悪。鍵デスクの上に置いてきた」
鍵を忘れてきたショックも大きかったが、所長が唯一口酸っぱく言う忘れ物をするなという言いつけさえ守れなかった自分の無能さにほとほと失望する。
しかし、鍵がなくてはさすがにあのボロアパートにも入れない。この時間では不動産屋も鍵屋も閉まっているし、近所に入れる店もない。
「仕方ない。取りに帰るか」
ウチの事務所は、見かけは普通の一軒家で一階が事務所、二階が所長の自宅となっている。事務所に入るということは必然的に所長の自宅の一部に入ることになるわけで、かなり気が引けたが、仕方がない。
せめてもと、裏口に回った。渡されている鍵でそっとドアを開けようとしたところで、僕の意識は飛んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます