第6話 敵
次の日。普通に学校に行った。
隣には、やっぱり風間未亜もいる。
クラス中、昨日の隕石騒ぎを噂しあっている。
中には宇宙人の仕業とか主張する男子も。
うるさくて寝れやしない。
「やっぱり来ていないわね。」
「だれが?」
「宍戸さん・佐藤さん・佐々木さんよ」
「誰だっけ?」
後頭部を思いっきりたたかれた。
「いい加減、同級生くらい覚えなさい!」
学校帰り、家に向かう途中で走ってきた未亜に捕まった。
「ちょっと、佐々木さんが連れ去らわれたの。手伝いなさい!」
「えー、めんどくさい。」
「いいから、行くわよ。」
「で、どこにいるかわかってるんだろ。」
「S駅近くの雑居ビルよ。昨日のチンピラに呼び出されたらしいの。」
「ふうん」
風間未亜は、もともと人間ではない。
天才的なプログラマーによって生み出された、人工知能。
詳しいことは理解できていないが、全世界のあらゆるコンピュータに遍在する存在だらしい。
今は人間の肉体を手に入れたが、その頭脳はいまだに世界中のあらゆるコンピューターや電子機器とつながっている。
あらゆる監視カメラの映像を把握しているので、どこに連れ去られても居場所を把握可能だ。
「それにしても、いい加減スマホくらい持ちなさいよ。連絡できないじゃない。」
「いやだよ、めんどくさい。」
そんなもん持ってたら、どこで何しているかばれるじゃないか。
S駅に降りると、同級生①②がいた。
”宍戸さんと佐藤さんだからね・・・”
「はいはい、何やってるの?」
「佐々木さんがいなくなって・・・探しているんです。」
「なるほど、まぁ先に帰ってなよ。未亜が何とかするから。」
「あんたもよ!」
2人とも震えているくせに、一緒についてくる。
まぁほおっておこう。
駅を出て裏路地に入る。
やがて見えてくる老朽化したビル。
なるほど、あの中にいるね。
感知能力を使って、中にいる人間を把握する。
女の子一人に男3人か。
「じゃあ、入りますか。」
「いいけど、人質にとられて面倒なことにならない?」
「何とかなるでしょ。」
入口の扉には鍵がかかっているが、解除の魔法で簡単に開く。
「こんにちわー」
「なんだてめえは!!」
見るからにチンピラが怒鳴ってくる。
椅子に座っている女の子。泣きはらしているようであるが、まだ乱暴はされていないようだ。
「いや、同級生を迎えに来ただけですよ。失礼しますね。」
「はあん、同級生だ?そいつは自主的に来たんだ、とっとと帰れ!」
未亜が言う。
「どうやら、写真や動画を撮られたようね。それで脅されたんでしょ。」
「ふうん。」
まぁ、未亜がすぐ消すでしょ。
すると、後ろにいた同級生②が言った。
「女の敵・・・・」
なんだ、そうか。
「敵なんだ。敵なら敵って早く言ってくれよ。」
「ちょ・・・まっ・・・」
次の瞬間、チンピラの胸に剣が突き刺さっていた。
もちろん、俺が刺した。
殺意もなく、ただ単に心臓に突き立てただけ。
サクッと。
だって敵だからね。
返り血とかめんどくさいから、同時に凍結魔法を使って凍らせている。
心臓を刺され、凍らされたチンピラはゆっくりとう後ろに倒れた。
即死間違いなし。
後ろにいた二人の男は茫然としてチンピラを見ている。
15秒くらいして。ようやく仲間が死んでいることを理解したらしい。
「ひい!!」
振り向いて逃げようとする。
が、すぐに転ぶ。
そこには足首が転がっている。
もちろん俺が切り落とした。
はいつくばって、命乞いをする。
「た・・・たすけ・・・」
その口の中に剣を突き刺す。
これが一番返り血が少ない。
まあ、凍らせるんだけどね。
もう一人は失禁して、あわあわと痙攣しだした。
こいつも口の中に剣を突き刺す。
後に残るは3つの死体。
一滴の血も流れていない。
後ろを見ると、同級生たちが抱き合ってガタガタと震えている。
「あんた!なんで殺したのよ。」
あきれたように未亜が言う。
「何言ってるんだ、敵なんだろ?」
当たり前のことを聞かれてもね・・・
「敵は排除する。それだけだ。」
「でも相手は人間よ。」
「人間? 敵だろ?」
ため息をつかれてしまった。
「後片付けはしてよね!」
「はいはい。」
結界を張り、爆炎呪法で焼く。数千度の熱で灰も残らない。
「未亜。記録を消すのは任せる。撮られたっていう画像も。」
「しょうがないわね・・・」
周囲の監視カメラの記録をふくめ、証拠隠滅はしてもらわないとね。
「あと。そっちも頼むよ。」
同級生の対処も未亜に丸投げしよう。
「ちょ・・待ってよ。」
「バイトあるから。あとは任せた。」
「ここで見たこと、忘れてくれないかな。でないと無理やり忘れてもらわなきゃなくなるの。」
同級生たちは青ざめた顔で聞いてくる。
「無理やりって・・・薬とか・・・?」
「え・・と、・・・物理かな・・・・?」
にっこりと笑って首をかしげてみる。
「「「忘れます!!もう、すっかり忘れます!!」」」
「ありがとう、素直で助かったわ。」
扉を開ける。
「さ、帰りましょ。」
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