第21話
「ルシアーノ侯爵様、新しい開拓地の評判はいかがでございますか?」
「アゲハか、順調に人が集まっておるぞ。そう言えばアゲハは陞爵したのであろう? 家名は何にしたんだ?」
「はい、家名はリベンジといたしました」
「むぅ意味は解らぬが、何だか背筋が寒くなる家名だな」
この世界には英語なんて無いから
「侯爵様から見てアストラル伯爵家は維持できそうなのですか?」
「住民が減ってきたことに、焦り引き上げた税率を下げる様に触れが出たそうだが、一度失った信用は取り戻せぬであろうな。領内にビラをまき散らした者が居て離縁された伯爵夫人が、伯爵家の財を食いつぶし、その補填を領民から行おうとした事等を包み隠さず書き出されていたようだしな。領民の怒りも沸騰して、開拓民の農民だけでなく商人達も見切りを付けて、領都から離れようとしておるから、俺の領地に囲い込もうと思っている」
「反対側のボイド伯爵様も同じような事を言われてましたから、アストラル家は厳しい状況でしょうね」
「貴族家の争いは国内では戦闘をする訳にもいかないからな。弱みを見せれば今回の様な状況になってもしょうがなかろう。このクラブの会員であれば常に国内外の最新情勢に触れる事が出来るからアゲハには感謝してるぞ」
「お役に立てたようで何よりでございます」
「アゲハは何を狙っておるのだ?」
「と仰いますと?」
「そのままだ。侯爵家を甘く見るでないぞ? アゲハ=スティングレー。あの席でアストラルのバカ息子に婚約破棄を告げられてからの復活劇。俺は最初から注視しておった」
「流石でございますね。これからもルシアーノ侯爵様とは仲良くさせて頂きたいと思っております」
「恐らくアストラル領の人口が半分まで減れば、伯爵家は改易されるであろう。だが今のままでは1/3は自然に我が領と隣のボイド伯爵領に逃げ出したとしても、あと一押しが無ければ、改易まではいかぬな。何か良い手は無いか?」
「ございますわ」
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