第17話
「サンドラ……」
「浮かない顔をしてどうなさったのですか? お仕事は順調では無かったのですか?」
「あーあんな、爺どもに媚を売る仕事は、私には似合わないと良く解ったから、辞めてやったわ。同僚が平民や獣人なのも我慢できなかったしね」
「そうでございますか。ミザリー様には尊い血が流れてるのでしょうね。同じ貴族家のお嬢様でもアゲハ様とは全く考え方が違う様で」
「アゲハなんて所詮は私に男を寝取られた負け犬よ。雑魚貴族ね。今は貴族ですら無いけど」
「あら? お聞きになられて無いですか? 今回ルドルフ公国の使者の方のご推挙で、女子爵に陞爵されたそうですよ? 何だかルドルフ公国に多大な利益を与えた感謝の気持ちだという事で。男爵家の娘であるあなたが子爵家の当主を悪く言った事が、広まるとミザリー様のご実家がお困りになる事になりますわよ?」
「チョッ、他国の使者って名前は解る? それになんであんな実家を放逐された女が貴族家の当主に陞爵とかありえないじゃない?」
「それは私の様な下賤な平民では、解らない事ですわ? ルドルフ公国の使者の方は、アダム様とギャバン様と言うとても見目麗しい男性の方でした。セレブリティにも通われてたと思いますが?」
「ルドルフ公国ね。解ったわ。それではごきげんようサンドラ」
ルドルフ公国は北の大地にある国である。
貴族制度は無いけど、財閥と呼ばれる大商人たちが、政治を司る国だったかな?
あまり勉強はして無いのでうろ覚えの知識だけどね。
でも公国であるなら、あの2人は財閥の関係者に間違いないわ。
あれだけお金を使えてたのも納得ね。
そうと決まれば、公国にさえ行けば、きっと正妻は無理でも側室くらいにはなれる筈よ。
そうだわ、あの日の晩の行為で私が妊娠した事にすれば、断れない筈よ。
でも、あの日からもう一月……
今月も生理は来たわ。
急いで妊娠しないと。
誰の子供でも構わない、妊娠した事実が大事なの。
きっと断れないし、断らせない。
バレると面倒だわ。
そうだ、川のほとりで、顔を隠して男に体を売る売春婦たちが居たわね。
それに紛れて、子種だけ付けさせよう。
10人も受け入れれば、出来るでしょう。
私は、川の橋の下で、男どもに一発1000ゴルで犯される売春婦を2晩程行った。
きっと子供は出来た筈。
こっちの顔も見せないけど、相手の顔も解らなかったから、どんな子が産まれるか解らないけど、目が二つ、鼻が一つ、口が一つであればどうにでも誤魔化せるよね?
それに……
悪くは無かったし……
たまにはスキっとしたい時に、橋の下に立とう……
でも今度は他の売春婦と同じように、ちゃんと避妊具を用意しないとね。
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