第15話
セレブリティの営業が始まった。
伯爵様や侯爵様など、私もお見かけした事のあるような方々が次々と来店される。
中には貴族でない方もいらっしゃるが、そんな人たちでも所謂豪商と呼ばれるような、王都に何件もお店を構え王国中に支店を構えるような大店の主たちだ。
絶対、何とか、落としてやるんだから。
「君は新人かい?」
「はい、よろしくお願いします」
ヘルプで呼ばれたテーブルに着くとそこには2人の素晴らしく容姿の整った男性が座っていた。
一瞬で心を持って行かれた……
「ミザリーさん、お飲み物をお造りしてあげて」
「あ、は、はいすいません」
「この子ミザリーって言って今日からなのよ、ちょっと目立ちにくい子だけど、よろしくお願いしますわ。アダム様。ギャバン様」
「キャシー、新人さんをいびったりしたら駄目だよ」
「あら? 私はいびったりしないわよ。ただ嘘を付けないだけですわ。もう少しここに慣れてきたら、洗練されて輝いて来るかも知れませんけど」
「よーし、それなら初日に出会ったのも何かの縁だ俺達がミザリーを2人で応援しようじゃ無いか」
「えーアダム様たちがこの子応援したら、私が負けちゃうじゃ無いですか?」
「嘘つけ、お前がダントツのNO1だって事は此処の客みんな知ってるぞ?」
アダムとギャバンと名乗る2人はとても遊び慣れてる様で、席についてる間中、凄く楽しく過ごした。
このお店でも最も高級なボトルを、次々と開け女の子達や黒服の男性たちにまで振舞う。
ある程度の時間を過ごすと、地下のカジノルームへ行くと言われて、私もお供をする様に言われた。
ここでも大胆にお金を使い、しかも勝負強く最終的には今日使った分以上の、金額を稼ぎ出し、増えた分は一緒に同行した女性ホステス達やディーラー、黒服にチップとして気前よくばら撒いて、帰って行った。
「素敵……」
「どうだったミザリー今日の体験入店は? アダム様が場内指名でミザリーを指名してくださっていたから、ボトルバックと指名バックも出るからな」
そう言ってその日のお給料として渡された金額は、10万ゴルを超えていた。
他にも、アダム様からチップとして胸元にねじ込まれたお金も5万ゴル程あり一日の稼ぎが15万ゴルにもなった。
平民の稼ぎの2月分程にもなる。
正に、夢の世界だ……
「あの…… 私…… 頑張ります。頑張らせて下さい」
「そう、それなら明日も待ってるよ。でも今日はお客様運が良かったけど、毎日ここまで良い思いが出来る訳じゃ無いし、お客様の間での評判が全ての世界だから、頑張ってね」
ミザリーは、どっぷりと夜の世界に足を踏み入れた。
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