第8話

 高級クラブとしてスタートした『セレブリティ』は更なる進歩を求めて、次に目を付けたのは、カジノの導入だよ!


 事前に下調べをしたけど、賭け事の場を提供する事が違法だという認識が、この世界では無かった。


 この世界で一般的な賭け事は、ボクシングのような殴り合いだとか、剣を使った決闘という血なまぐさい物が中心で、前世の記憶にあるようなカードゲームなんかは存在していなかった。


 私はキャバ嬢の当時に、よく太客の会社社長たちに連れられて、カジノバーとかに出入りしてたから、基本的なルールは頭に入ってるんだよ!


 これでも前世では一応2流ではあったけど国立の4大卒だからね!

 早速、ゲーム版とトランプのカードを街の職人に頼んで作成して、ルーレットとバカラを始める事にした。


 麻雀も私は結構得意だったから、街の職人に牌を注文してみたよ。

 流石に全自動卓は無理だけどね……


 こうして、セレブリティの地下には、この世界では初となるカジノもオープンした。

 ここでも役に立ったのは身体能力に優れた、獣人のスタッフたちだ。

 とてつもなく高い敏捷性で、ルーレットに狙い通り球を投げいれたり、トランプのカードさばきで、思いのままに配ったりすることは、訳も無くこなす。


 基本は、長く遊んでもらう事が大事だから、ちゃんと満遍なく勝って帰って貰う日を演出してあげるよ?


 ギャンブルって不思議なもんで勝ったお金は贅沢に使いたくなるんだよね。

 地下で勝っても、クラブで良いお酒を入れてくれたりチップを弾んでくれたりで、結局私のお店にはプラスばっかりなんだよね!


 これが、上流社会で話題になって来ると、平民向けのカジノを始めて荒稼ぎをしようとする裏社会の連中が出て来ることも、私には想定内だったので、ここでこの王都の警察組織を管轄する侯爵家に対して、恩を売って置く事にした。


 カジノ経営を、国が許可をした業者だけにしか営業が出来ない規則を作らせ、当然普通の商売よりも高い課税を掛けさせて、この侯爵家の手柄にさせた。


 きちんとした法律が作られてしまったら、裏社会の人間が真似してオープンさせるカジノは堂々と摘発して、罰金が徴収できる。


 私はこの侯爵家に凄い感謝されたよ。

 そして、お礼として、王家に働きかけ貴族の爵位を陞爵された。


 女子爵と言う爵位で、父親から捨てられる前の実家の爵位と同じだよ。

 元々が貴族家の出身であった私は、問題無く推薦が認められたみたいだね!

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