第7話 

 高級会員制クラブは華やかなスタートを切った。

 この店をオープンさせるまでに上がった利益を使い、高級感あふれる貴族の屋敷を一軒買い取り、改装してスタートさせた。


 毎日が社交パーティの様な日常を演出する。


 女性スタッフだけでも、いわゆるホステスと、ウエイトレスの仕事を専門で行うバニーガールが存在する。


 このバニーガール。

 本物なんだよ?


 流石異世界って言うか、獣人族の女性が存在してたから、積極採用してみたの。

 このお店では兎人属の女性に限定して、ハイレグバニースーツに、網タイツピンヒールのベタベタなスタイルでウエイトレスをして貰う。


 大好評だ。


 とにかく大騒ぎをせずに、スマートに遊ぶことがこの高級クラブでは美学なんだと、ホステスの女性を通じてうまく認識させていく事にも成功して、とてもうまくいっている。


 そして、会員制であるから会員証の無い方はお断りをする。

 最初は、お忍びでキャバに通っていた、上客の貴族様だけを対象に会員証を発行した。


 それ以降の会員は、他の会員からの推薦を受けた人だけに限定される。

 当然無条件で全員が認められる訳では無く、最初はビジターとして会員同伴での来店は認めるけど、2回目以降の来店時には本人が会員証を持って居ない限りは入店が出来ない。


 会員になりたい者は、初回入店時に申込書を記入して提出するのだが、その判断基準は申込者に対して、会員が投票を行い、7割以上の賛成票の獲得という事にして在り、当然無記名での投票だ。


 だがその実態は、開票自体はアゲハが行うのでアゲハの胸先三寸である。

 

 元が貴族屋敷のこの店舗では、重要な会談などを行いたい時に、セキュリティ万全な個室も用意するなど、至れり尽くせりのサービスを提供する事も心掛け、この王都の社交界では、アゲハの運営する会員制クラブ『セレブリティ』のメンバーである事がステータスとなっていた。


 当然一度でも訪れた者は、ほぼこのクラブへの入会申し込みをするのだが、一部の認められない者たちは、社交界では信用されていない人として、徐々につまはじきにされて行く。


 その中には、アゲハの生家であるスティングレー家とアゲハとの婚約を破棄したディビットのアストラル家も含まれていた。


 作戦は次の段階へ進む。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る