第6話

「アゲハ様、こんなにお金はいただけません」

「ん? サンドラ、このお金は投資に対しての、正当な配当だよ? 今の売り上げから行くと、毎月これくらいは貰って貰わなきゃいけないんだからね」


「私、アゲハお嬢様を信じて付いて来てよかったですぅ」

「まだまだこれからだよ。サンドラにして貰いたいのは、女の子達のメーク関係のスタッフ育成と、貴族家からの衣装の買い付けを中心に頑張って欲しいの」


「お嬢様はこれから何をなされるんでしょうか?」

「私はね、次はキャバの女性客バージョン。ホスクラを始めるよ」


「ホスクラでございますか? それはどう言うお店ですか?」

「そのまんまだよ、貴族家や商店主のご夫人達をメインに相手にさせる女性版キャバだよ」


「それは需要がある物なんでしょうか?」

「フフッきっとビックリするわよ?」


 今回のホスクラの1号店で使うホスト君達は、既にキャバで黒服として勤務している男の子たちの中から、特に辺りの柔らかいイケメン君達を、タイプ別に見繕って採用した。

 システム自体はキャバと同じなので、黒服さん達だったスタッフはよく理解できている。


 人気のあるキャバ嬢たちの行動パターンを理解させているので、キャバの時よりももっと、立ち上げはスムーズだろう。


 特にこの世界では男性上位が当たり前で、大事に扱われる事に免疫が少ないご婦人方が圧倒的に多いからね。


 一応事前知識として爆弾ワードは徹底してあるよ?


 歳を聞かない。

 仕事を聞かない。

 家庭環境を聞かない。

 他の女性の事であっても、容姿の悪口は言わない。

 ホストとして知り得た情報を、他のお客様に話さない。

 お客様を客と呼ばない。(例えホスト同士での会話であってもお客様と呼ぶ)

 お客様は、お姫様として扱い、自分からは身体接触はしない。

 下ネタは、お客様からの要望があっても、店では程々に。

 

 話は最後まで聞いて上げて腰を折らない。


 これを守れればみんなあっという間にお金持ちだからね!


 男性キャスト達のトップ3は、お客様の目にもとまる位置に名前が張り出される。

 これによって、推しメンをNO1にしたいご婦人方の熾烈な消費合戦が繰り広げられ、あっという間に1店舗当たりの売り上げはキャバを凌駕するようになった。


 その頃になると、キャバの店舗の評判は貴族たちにも浸透し始めていた、

 プライドの高い貴族たちからは、上流階級の者だけが入店できるような高級クラブの要望が出始めていた。


「いよいよだね。盛大にざまぁさせて頂きますわよ?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る