第4話

 お店の場所はサンドラの実家。

 2階の住居部分にはお母さんも住んでるんだけど、お店の掃除やグラスを洗ったりするお仕事を日当1万ゴルで提案してあげたら大喜びで協力してくれる事になったよ。


 私には資金も殆どなかったから、内装費用もサンドラが真面目に貯めていたお給金で、なんとか最低限の設備を整えた。


 儲かったら絶対利息一杯付けて返すからね!


 酒屋さんで、大量のお酒を買い付けたけど、その仕入れだけは私が子爵家の令嬢であった事を武器に、末締めの翌5日の支払いにして貰った。


 助かったよ……


 女の子達は10人程集めて基本的なマナーと会話の講習を1日かけて行った。

 当然その日も日当は払ってあげたよ?


 それよりも平民の女の子達は、綺麗なドレスを着てお化粧をして髪をセットした自分の姿を鏡で見て、うっとりしてた。


 これは、みんな続けてくれそうだね。

 こんなお店で重要なのは、女の子達は勿論だけど、男性スタッフも大事だ。

 これも街でスカウトする。


 見た目のカッコいい男の子たちを集め、最低限のマナーと女の子達の愚痴聞き係をする様に教育する。

 女の子が一番安定して居ついてくれるのは、店の男性キャストに恋愛感情を持ってる時だと私は知っているからね。


 だから歩合は無いけど日当1万ゴルを保証する。

 普通にこの世界で働いている人の3倍以上の額だよ。


 店の女の子に手を出さない事だけは約束させるけどね。

 ばれたら即クビと、違約金が発生する雇用契約書を作りサインをして貰ってるよ?


 しっかし、改めてこの世界のイケメン比率半端ないよね……

 この世界は、魔法は無いけど、魔獣は存在するから、平民の男性は冒険者と言う職業に付き、戦いに身を置く人が多いんだよね。


 鍛え上げられた身体は、胸板も厚く、二の腕も逞しい。

 もう、しゃぶり付きたくなっちゃうよ!


 そんな男性たちに声を掛けると、安全に稼げる上に、営業時間的に十分に冒険者との副業が可能だから、こっちもすぐに集まった。


 執事服に身を包ませた、イケメン男性キャストと、平民男性では一生縁のないであろう、貴族令嬢の装いに身を包んだ女性達による接客をして貰えるキャバ。


 開店前から、負ける要素を全く感じないよ!


 私は、ママとして君臨する。

 太客にはちゃんと挨拶に行くよ。


 誰にでも気軽に挨拶に出ないことも大事なの。

 ママが挨拶に来てくれる程の上客なんだって周囲から見られる事が、またお客様方の自尊心をくすぐるからね。


 サンドラもお客さんの席にこそつかないけど、裏方の仕事を男性キャスト達に指示を出しながら、一緒に手伝ってくれる。


 さぁ開店だよ!

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