第95話幸せな日常を紡いで行く
「ちょっとあんた達っ! 終いには怒るわよっ!!」
「きゃぁーっ!! 鬼ババが怒ったぁーっ!! きゃーーっ!!」
「逃げろ逃げろっ!! 鬼ババが追いかけてくるわっ!! 捕まったら最後よっ!!」
そして姉妹は先程まで喧嘩していた事など嘘のように息の合った動きで生みの親であり、当然育ての親でもある私へ『鬼ババ』などという到底許されない言葉を投げ掛けながら海のある方角へと走って行く。
私は姉妹を途中まで追いかけると、そこで追いかける事をやめて夫である水樹の元へと戻る。
「はははっ。 全員仲良くて、元気で何よりだ」
「まったく、どこをどう見れば仲が良く見えるのよ? 一回眼科にでも行ったらどうなの? 私、あの姉妹に『鬼ババ』って呼ばれたんだけど? あなたの愛すべき妻の事を『鬼ババ』だなんて呼ばれて夫である水樹は何も思わないわけ?」
ホント、夫であるのならば例え娘からといえど、むしろ娘からだからこそ妻に対して『鬼ババ』などという言葉を言われて何も言い返したり叱ったりせず、ただ傍観するっていうのはどういう事なのか。
「まぁ、思わない訳はないし、言葉遣いも直して欲しいとは思うけど、あの年代はそういうもんだしなぁ。 犯罪を犯したり他人に迷惑をかけたりとかじゃない限りは今上から押し付けて家族の関係が壊れてしまうのよりかは、ある程度落ち着き始めた年齢になってからでも良いのかなっ? とは思う。 それに……」
「それに?」
「それに、俺と愛しの妻である美奈子の可愛らしさや愛らしさ等は俺だけが知っている方が良いかもって少し思ってね。 独り占めしたいとかではないけど俺だけが知っているという優越感を今ひしひしと感じていたりする。 娘達に対応してどうするんだって話なんだけどね」
「…………も、もうっ! ばかっ!」
そ、そんな事を言うのはずるいと私は思う。
「ははっ、照れてる美奈子も可愛いよ。 どう? そろそろ三人目でも」
「はぁっ!? 今それ言うっ!? べっ、別に良いけどっ!? どんと来いよっ!」
「じゃぁ今度ホテルでも行こうか。 しかし、やっぱり美奈子は可愛いな」
「もうっ! その話はまた今度っ!! 早く海に行くわよっ!」
正直、言われて嬉しいのだが恥ずかしすぎて取り敢えず話題を海へと変える。
こういうのは二人っきり……今は確かに二人っきりなのだけどそうではなくて、こんな外ではなく私達しかいない部屋の中で言ってほしい。
ないとは思うけれども『誰かに聞かれたら』と思うと恥ずかしすぎる。
それと同時に『三人目かぁ。 年齢的にも最後かも。 男の子かな? 女の子かな?』と想像してしまう私がいる訳で。
「分かったっ、分かったからそんなに推すなよな……おっ! やっと海が見えてきたなっ!」
「わぁっ! 何回かきたけど未だにこの、カーブを曲がるといきなり海が広がるのは何回見ても凄いわねっ!!」
「美奈子は毎日見ても飽きないし美人で可愛い最高の俺の奥さんだけどな」
「ほらっ! 褒めても何も出ないからさっさと行く行くっ! 紬衣と結衣も心配だし。 人様に迷惑をかけてなければ良いんだけれど……」
「そこの心配は娘達ではないのか?」
「あの娘達よ? 痴漢とか強引なナンパとかは多分ぶっ飛ばしてるわよ」
「それもそうだな。 でもなんだかんだで女の子には違いないんだから用心する事に越した事はないだろうし、早く行くとするか」
「あ、あと……わ、私から見ても最高の旦那さんで私にとっては世界一イケメンでカッコイイと思っているからっ」
「……ますます三人目が欲しくなって来たんだけど?」
「そう言いながらキスをしようとしないっ! せめて部屋の中でっ、うむぅっ……もう、バカッ! 誰かに見られたらどうするのよっ!?」
「その時は見せつけてやればいいよ」
「あのー、流石に娘達に見せつけるのはどうかと思うんだけど? 父さん。 こりゃ太陽も負けますわ」
「熱々なのは分かったかさっ、とりあえず娘としては両親のそういうところを見るのは恥ずかしいのでやらないでとは言わなけど見えないところでやってもらいたいんだけど?」
「うるさいっ! お父さんは私の事しか見えなくなる程愛しているんだから仕方が無いのよっ!!」
「いや、俺じゃなくてお母さんがそれを言うんかいっ」
そして今日も我が家は賑やかで楽しく、幸せな日常を紡いで行くのであった。
◆
一年後、生まれた男の子には『結城』という名前をつけるのであった。
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これでサイドストーリーも完結でございますっ!!∩^ω^∩
ここまで読んでくださった皆様には感謝しかございませんっ!!( ^ω^ )ありがとうございますっ!!
面白かったと思った方はブックマーク、そして評価をしていただければとても嬉しくおもいますっ!!
そして、皆様とは別の私の作品でお会いできるようにこれからも創作活動を頑張って参りますので、何卒よろしくお願いいたしますっ!!
それではまた、違う作品でお会いしましょう∩^ω^∩
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