第76話サプライズ4
そんな事を思いながら俺は尚も美奈子の頭を撫で続ける。
これはもはや一種の癖のようになりつつあり、間違いなく中毒性があると俺は思う。
そもそも、撫でている間は幸福感情と美奈子を愛おしいと思う感情が跳ね上がるのだから、止めれる筈がない。
一日最低三時間は撫で撫でゲージを充電しなければどうにかなってしまいそうな程には無くてはならない行為になっていた。
恐らく一日撫でれなかっただけで手が震え出し、二日経つと美奈子の幻覚が見え始め、三日には美奈子エネルギー切れできっと倒れてしまうだろう。
「って、それでいつも私が満足して許すと思ったら大間違いだからねつ!」
「正直今許しかけただろ?」
「う、うるさいっ! で、でも頭を撫でるのは止めないように」
「はいはい」
そんな感じでいつものように美奈子の頭を撫で、そして美奈子も満更でもなさそうである。
初めの方は嬉しいけれども鬱陶しいといった反応だったのだが、むしろここ最近では美奈子の方から撫でられにきていることの方がお多くなってきているように思う。
恐らく美奈子も俺が美奈子の頭撫で中毒者であるように、美奈子は俺に頭を撫でられ中毒者になってしまっているのだろう。
これはこれで可愛いので、むしろ俺としては嬉しい限りである。
そして周囲から聞こえてくる男性達の落胆した声。
その彼らに対して『美奈子は俺だけのものだ、誰にも渡さない』と言う牽制も込めながら、愛おしい美奈子の頭を、ご要望通り撫で続ける。
「とりあえず、これを予約してて、朝イチに取りに行ってたんだよ。 家に置いてたら即バレしそうな気がしたし、こればっかりはサプライズで渡したかったんだ」
ある程度美奈子を撫でるのを、俺も美奈子も満足したので俺はカバンから黒い、そして見ただけ良質だとわかる紙袋を取り出し、そしてその紙袋の中に入っている長方形の箱を取り出すと、中に入っているネックレスを美奈子に見せる。
「入学祝でプレゼントしたかったんだ。 クビにかけても良いかな?」
「う、うん……」
そして俺は美奈子の首に俺がかけても良いかと確認すると、美奈子は顔を真っ赤にしながら首を縦に振る。
その反応から見てもどうやら俺のサプライズは成功したとみて良いだろう。
嬉しそうに、だけど少し悔しそうにしながら俺を見るその顔には『今度は私がサプライズをぶっ込んでやる!』と書いていた。
そんな、俺の可愛い彼女の顔を見ながら俺はカウンターサプライズでも練るか、と思うのであった。
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