第75話サプライズ3
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今日が大学登校初日。
美奈子は一緒に登校したがっていたのだが俺はサプライズでネックレスを渡したい為、そのネックレスを取りに行く為の別行動である。
と言っても早朝は店が開いていない為ネックレス自体は昨日のうちに受け取っており、今は駅のコインロッカーの中なのだが。
当初は家に隠しておこうと思ってもいたが、普段は鈍い美奈子なのだがこういう時だけ偶に変に勘のいい時がある為万が一を考えて家には置かないという選択肢を取った。
やるなら完璧にだ。
そして俺は無事ネックレスを回収すると美奈子と一緒に通う事となる大学へとそのまま向かう。
大学正面の入り口の門から真っすぐ歩いていると、ベンチに座って小説を読んでいる美奈子の姿が目に入って来る。
遠くから見ても美人で姿勢が良く、様になっている。
その姿を見た人達が男女問わず「あの人凄い美人じゃない?」「彼氏いるのか?」「声をかけて来いよ」「何読んでるんだろう?すごい気になるけどカバーがかけられていて分からないっ」といった言葉が耳に入って来て、ほんの少しだけ優越感に浸る。
しかしながら残念な事にあれは美奈子には俺という彼氏が既におり、かなり愛されていると自負しているし、今読んでいる本は間違いなくライトノベルである。
恐らくいま絶賛ハマっていると言っていた『いい国創ろうキャバクラ幕府。キャバクラは令和の大奥』であると断言できる。
ほんと、上手く猫被ってんな……。
今俺が美奈子に出会ったのだとしたら間違いなくあの姿が本当の姿だと騙される自身はある。
そんな事を思いながら、少しだけ美奈子を観察してから彼女の元へと向かい声をかける。
「お待たせ」
「本当、待ちくたびれたわよ。 そもそも何で同棲しているのに別々で登校しないといけないのよ。 私、初めての通学は二人でしたかったのに」
すると美奈子は一瞬だけ嬉しそうな表情を見せるものの直ぐに不機嫌そうな顔を作る。
しかしながら口元がにやけているので、その不機嫌な表情は、嬉しいのを誤魔化すためのカモフラージュであるとバレバレだ。
そんな所も可愛いと俺は思う。
そして俺は美奈子の頭を撫でてそのカモフラージュを壊しにかかると、一瞬にして崩壊し、実に幸せそうな表情へと変化していくではないか。
こういう所も可愛いと思う。
むしろ全て可愛いまである。
こんなかわいい女性が俺の彼女なんだと周囲の野次馬どもに声を大にして自慢したい程だ。
とりあえず、美奈子が幸せそうならこのまま頭を撫で続けるのも良いかもしれない。
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